May 07, 2005
TVC040 サターン / 企業 / 「ドア・ミュージック」
TVC041:
"Door Music"
by Goodby, Silverstein & Partners
for Saturn Corp.
【CMストーリー】
道路脇に駐車中のサターン。そこにボールが飛んできて、車体にぶち当たる。別のサターンのドアが開いて、消火栓にぶち当たる。さらに別のサターンにラジコン飛行機がぶち当たる…その繰り返されるノイズが、次第に音楽に聞こえてきて…
【コピー】
サターン・ネオン。衝撃吸収復元パネル採用。最初に人ありき。
【CMアイデアカテゴリーと解説】
実証する+繰り返す+グルーヴ
この5月5日に、米大手格付け会社スタンダード・アンド・プアーズから「投資不適格」という悲しみあふれる烙印を押されてしまったGM。そのGMの1ブランドが、1997年、「礼を尽くす会社、礼を尽くすクルマ」という細野晴臣氏の印象的なナレーションと共に日本市場に導入された「サターン」です。残念ながら今は日本から撤退してしまいましたが、このCMを見る限り、アメリカでは今でもしっかり商売が成立してるようですね。
さてサターンというブランドは、全タイプのドアやフェンダーなどの垂直パネルがポリマー樹脂で作られていて、多少何かがぶつかったとしても自らの弾力でパネル形状が復元します。しかし、このパネル素材は1990年のサターンのデビュー当時からの変わらぬ特徴であり、アメリカ市場の人々にとっては特に目新しい情報でもありません。しかしブランドとして、消費者に対して常にリマインドはしておきたい。
というわけでCMの手法は単純。「ポリマー樹脂復元パネルで作られたサターンはモノがぶつかってもすぐ元通りになる」という事実を、実証映像の繰り返しで見せているだけです。しかしリフレインされる映像が、やがて打楽器のようなリズムとグルーヴ感を作り上げていきます。またリフレインされることで、「丈夫なクルマ」というイメージを植え付けることに成功しています。気が遠くなるような手間もかかっているし完成度も高い。なかなかの優等生CMですね…だからというのもアレですが、解説も優等生風になってヒネりがないですね!(笑)
【予測されるアドアイデア】
どれだけモノが当たっても、サターンの樹脂パネルは復元する。
"Door Music"
Agency: Goodby, Silverstein & Partners
City: San Francisco
Advertiser: Saturn Corp.
Brand Name: Saturn
Country of Production: United States
Length: 45 seconds
投稿者 galliano : 02:24 PM | コメント (0) | トラックバック
March 13, 2005
TVC025 ハイネケン / ブランド / 「音」
TVC025:
"(Title unknown)"
by Publicis NY
for Heineken
【CMストーリー】
とあるバーにて。バーテンダーが手を滑らせて、運んでいたハイネケンの瓶ビールを全て床に落としてしまう。次々とスローモーションで割れていくビール瓶。その重く鈍い音が響き渡る。その音はやがて…
【コピー】
女性「あなた、どうしたの?」
男性「わかんない…でもなんだかとても、悲しい音が…」
女性「…」
スーパー「それが、ビールのすべて。ハイネケン」
「It's all about the beer. Heineken」
【CMアイデアカテゴリーと解説】
マニアになる+大問題化する+存在を消す+繰り返す。
出演している人物は全員ハイネケンマニアという設定です。ハイネケンが飲まれずに瓶が割れて世の中から消え去る時、その悲しみあふれる「音」は彼らの心に響き渡ります。それは彼らにとって大問題。自分が今、するべき事を一瞬忘れて呆然としてしまいます。観客は次第に彼らの商品への深い愛を感じとっていきます。この手の間接的なアプローチは1つのエピソードでは伝わりにくく、繰り返すことが必要になります。よって秒数は長めになり、いくつかの希少な例外を除いて日本ではほとんど試みられることはありません。
【予測されるアドアイデア】
ハイネケンのおいしさは、飲んでいない時でも人の心を平静に保つ。
▼1クリック毎に(来週のプレゼンに向けて)元気が出ます!
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"(Title Unknown)"
agency: Publicis NY
client: Heineken
country : United States
year : 2005
投稿者 galliano : 12:52 PM | コメント (0) | トラックバック
March 07, 2005
TVC021 ペプシコ・フリトレー / レイズポテトチップス / 『フェンス』
TVC021:
"Fence"
by Spike DDB
for PepsiCo
(最初に別のCMが流れます)
【CMストーリー】
空き地で野球してる子供達。ボールが壁を超えて隣の家に入ってしまう。「あぁ、やっちゃった…この壁超えていっちゃったものって一つも戻ってこないんだよなぁ」。それを見てた女の子が言う。「みんな大好きなポテトチップス、『レイズ』を投げてみたら?」「よし、やってみよう」そして戻ってきたのは…
【コピー】
レイズ、アメリカが好きなポテトチップ。
【CMアイデアカテゴリーと解説】
意外な利用方法+誇張する+繰り返す
さて、こちらもスーパーボウルでオンエアされたCMです。なんと最後に出てきたのはMCハマーですよ…これには僕ものけぞりました。しかも今や「OUT」だということで、子供達に投げ返されてしまいます。MCハマー的には超自虐出演ですね。ところで誰が出演を口説いたのでしょうか、と思ってスタッフを見ると、監督はスパイク・リーでした! そうですね、これを撮れるのは彼ぐらいしかいませんよね… 最近スパイク・リーはオレンジというIT会社のCMにも出演してました。
【予測されるアドアイデア】
みんなが大好きなレイズがあれば、怒っている人の機嫌も良くなる。
【アイデアから表現まで】
このCMはこれまで紹介してきたような「最後に商品が謎解きの役目を果たす構造」ではなく、
「まず最初に商品ベネフィットを伝えてしまい、それをきっかけにしてどんどんストーリーが展開していく」
という構造になってます。
当然最初に何のCMかがバレちゃうわけで、この構造の場合、
後半は何かフッきれたようなバカバカしい展開になることが多いですね。
1: レイズはみんなが大好きなポテトチップだ。
2: レイズがあれば怒っている人も機嫌を直してしまう。
3: たとえばボールが飛びこんできた家の人の機嫌も直してしまう。(意外な利用方法)
4:その家の人はさらに機嫌がよくなって、
昔飛び込んでいったパパの72年式インパラも戻ってきてしまう。(誇張する)
5:80年代のヒーロー、MCハマーも戻ってきてしまう。 (繰り返す)
6: MCハマーはもう不要なので、子供達に投げ返されてしまう。
ではまた次回!
"Fence"(30sec.)
client: PepsiCo
agency: Spike DDB
director: Spike Lee
country :United States
year :2005
投稿者 galliano : 11:18 AM
TVC021 ペプシコ・フリトレー / レイズポテトチップス / 『フェンス』
TVC021:
"Fence"
by Spike DDB
for PepsiCo
(最初に別のCMが流れます)
【CMストーリー】
空き地で野球してる子供達。ボールが壁を超えて隣の家に入ってしまう。「あぁ、やっちゃった…この壁超えていっちゃったものって一つも戻ってこないんだよなぁ」。それを見てた女の子が言う。「みんな大好きなポテトチップス、『レイズ』を投げてみたら?」「よし、やってみよう」そして戻ってきたのは…
【コピー】
レイズ、アメリカが好きなポテトチップ。
【CMアイデアカテゴリーと解説】
意外な利用方法+誇張する+繰り返す
さて、こちらもスーパーボウルでオンエアされたCMです。なんと最後に出てきたのはMCハマーですよ…これには僕ものけぞりました。しかも今や「OUT」だということで、子供達に投げ返されてしまいます。MCハマー的には超自虐出演ですね。ところで誰が出演を口説いたのでしょうか、と思ってスタッフを見ると、監督はスパイク・リーでした! そうですね、これを撮れるのは彼ぐらいしかいませんよね… 最近スパイク・リーはオレンジというIT会社のCMにも出演してました。
【予測されるアドアイデア】
みんなが大好きなレイズがあれば、怒っている人の機嫌も良くなる。
【アイデアから表現まで】
このCMはこれまで紹介してきたような「最後に商品が謎解きの役目を果たす構造」ではなく、
「まず最初に商品ベネフィットを伝えてしまい、それをきっかけにしてどんどんストーリーが展開していく」
という構造になってます。
当然最初に何のCMかがバレちゃうわけで、この構造の場合、
後半は何かフッきれたようなバカバカしい展開になることが多いですね。
1: レイズはみんなが大好きなポテトチップだ。
2: レイズがあれば怒っている人も機嫌を直してしまう。
3: たとえばボールが飛びこんできた家の人の機嫌も直してしまう。(意外な利用方法)
4:その家の人はさらに機嫌がよくなって、
昔飛び込んでいったパパの72年式インパラも戻ってきてしまう。(誇張する)
5:80年代のヒーロー、MCハマーも戻ってきてしまう。 (繰り返す)
6: MCハマーはもう不要なので、子供達に投げ返されてしまう。
ではまた次回!
"Fence"(30sec.)
client: PepsiCo
agency: Spike DDB
director: Spike Lee
country :United States
year :2005
投稿者 galliano : 11:18 AM
February 18, 2005
ホンダ / IMAシステム / 「感覚」
TVC005:
"Sense"
by Wieden + Kennedy UK Ltd
for Honda
【CMストーリー】
電車が来た時だけ電灯が点くプラットフォーム。人が見ていない時はオフになるテレビ。使われていない時は勝手に止まる水道。それは…
それは「モノ」が感覚を持ち、人に使用されているかどうかを判断し、自分で消費パワーをマネージメントしている世界。ナレーション「使われていないことを『モノ』が知るようになれば、どれだけエネルギー消費が削減されるでしょうか?」「ホンダ IMAシステム」
【CMアイデアカテゴリーと解説】
ありえない映像をリアルに作る+置き換える・例える+繰り返す
2004年、カンヌでブロンズを受賞したイギリスのホンダのCMです。IMAとはインテグレーテッド・モーター・アシストの略で、ホンダ製ハイブリッドエンジンの総称。このエンジンシステムの広告を、ワイデン&ケネディUKはとてもスマートな手法で表現しました。
そこで描かれているのは、とてもリアルに表現された、想像の世界。60秒をフルに使い、ひとつひとつの出来事を丹念に、丁寧に描くことでリアリティと説得力を獲得しています。
【アイデアから表現まで】
アドアイデアは
『世の中のエネルギーの無駄な消費を減らすこと、
それがIMAシステムのコンセプト』
でしょうか。ちょっと違うかな…とりあえず今はこうしておきます。
アイデアから表現への流れは…
1:『世の中のエネルギーの無駄な消費を減らすこと、それがIMAシステムのコンセプト』
2:そのシステムを日常の生活に当てはめて、映像化する。「言い換える・例える」
3:説得力を獲得するために、その映像は合成などを感じさせないように、高品質に制作する。
「あり得ない映像をリアルに作る」
4:映像の意味を観客が理解し、確信を持つまで何度も「繰り返す」。
こうやって、高い知性を感じさせるCMが完成しています。クルマのエンジンを全く見せていませんが、そのおかげでコンセプトが明確に伝わり、「説明くさくない」仕上がりになっていると思います。
IMAのロゴの3文字の見せ方もエネルギーをケチっていて(笑)全体のメッセージが貫かれています。
またこのCMで注目すべきは、素晴らしいオリジナル音楽でしょう。淡々とリズムが進行する中、やわらかく上下するコーラスが、モノが知性をもって生きているように描かれている架空の映像にシンクロしています。この音楽を担当したのは数多くの賞を受賞しているロンドンの音響制作スタジオ、「750mph」。もしお時間があれば彼らのサイトを訪問してみてください。彼らのリールには僕が以前から好きなCMが並んでましたよ!
▼1クリック毎に元気が出ます!
<人気blogランキング>
"SENSE" (60")
client : HONDA UK
agency : Wieden + Kennedy UK
director: Peter Thwaites
country :UK
year :2003
新潮社 (1996/04)
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