September 28, 2012
TVC144 Midttrafik / Brand / The Bus
先日もバス会社のCMをご紹介したところなのですが、今回も同じくバス会社の広告です。でも前回よりIQは格段に低く、かつ異様なほどスタイリッシュな仕上がりとなっています。というか、なんじゃこりゃぁぁ!
字幕をガリ訳してみました。
ミッドトラフィック社が提供する、『バス』
バスドライバーは超カッコいいぜ。
運転手 「カッコいいだろ?」
椅子もイカしてるぜ。
デカいパノラマウィンドウからは胸にグッとくる景色が見えるぜ。
デザイナーズ降車ボタンはシビれる機能付き。
つり革は無料だぜ。
でかくて、長いぜ。
バス専用レーンもあるぜ。
イェイ!ストリートっぽいぜ。
夜になっても走ってるぜ。
運転手 「まだカッコいいだろ?」
そうなんだよ。バスはカッコいいんだぜ。
だから早く起きて良い席を取るんだ。
ミッドトラフィック社。
お前をドライブしてやるぜ。
デンマークの会社のようですね。馬鹿最高。
アイデアカテゴリは、『マニアになる』『大問題化する』『過剰にする』『説明する』『誇張する』とてんこ盛りです。
投稿者 galliano : 05:49 PM
February 01, 2010
TVC122 Mercedes / SLS AMG / Tunnel
メルセデスでガルウィングというと1950年代の300SLを指すのですが、50年の時を経てその後継車が登場しました。その名もSLS。300SLのSLはスーパーライト(超軽量)でしたが。ここでのSLSはなんでしょね。わかりません。
というわけで新しいSLSのCMですが、シューちゃんがサプライズで登場です!F1を引退していたシューマッハですが、今年から母国メルセデスのF1パイロットとして復帰するんですね。で、復帰後第一弾のCMがコレ。
さてCMの内容ですが、ストーリーなんてあって無きが如くムチャクチャです。でもサウンドデザインは素晴らしいですね。カメラワークも良い。この2つが良ければトンデモ案でも鑑賞に耐えられるという好例でしょう。ここ、試験に出るので覚えましょうね。
アイデアカテゴリは「ありえない映像をリアルに作る」「過剰にする」の2本とします。
ちなみに当時日本に輸入された300SLのオーナーの一人は俳優の故石原裕次郎さん。今でも現車が小樽の裕次郎博物館に展示されているそうです。
投稿者 galliano : 12:48 AM
January 20, 2008
TVC087 Monster.com / company / Big legs
アメリカの転職サイト、MonsterのCMです。これはいい!特に記念写真シーンとおっさんのお風呂とこけるバイクが良い!何言ってるかさっぱりわからないところも良い!絵も良いからYouTubeみたいな汚れた画像じゃなくて、ちゃんとしたキレイな画像で見たいなー。というわけで明日は早くから車好きの集まりがあるので先を急ぐと、アドアイデアは「どんなに風変わりな人にもその人にぴったり合った仕事がある」ですね。そしてその「風変わりさ」と「ぴったり合った仕事」を考えるのが企画ということかと。CMアイデアカテゴリは「ありえない映像をリアルに作る」と「過剰にする」とします。
投稿者 galliano : 12:56 AM
October 07, 2007
TVC077 Sony / Bravia / 「Play-Doh」
TVC073:
"Play-Doh"
by Fallon, London
for Sony
先日お伝えしたソニーBraviaの新CMが公開になりました。街の中でアニメートしてたので、人物や車などは消すんだろうなぁと予測してたけど…これはまさに見たことのない映像。予想を遙かに超える仕上がり。詩的でもあるし、すごくポジティブな力を感じます。是非良い画質の公式サイト(注意:重いです)で見ていただきたい。
監督はまたかよ!のフランクバジェン(Frank Budgen)。僕の大好きなプレステ2のCM「Mountain」も手がけているキングオブCMディレクター。なるほど街の人々の表情がなんとなくMountain的かと。制作はもちろん彼の会社のGorgeous。アニメーションは僕も仕事したことがあるパッションピクチャーズ(Passion Pictures)。…ぜひ一度映画館で見てみたいけど、なぜか日本では違うキャンペーンをやってるのでムリかなと。
▼すごく重いけどインターフェースに一見の価値がある公式サイト
http://bravia.sony.eu/bravia.html
▼重いデータに耐えられない人はYouTubeで
Title: Play-Doh
Client: Sony Bravia
Ad agency: Fallon, London
Creative director: Juan Cabral
Executive creative director: Richard Flintham
Agency producer: Nicky Barnes
Account director: Ben Cyzer
Director: Frank Budgen
Production company: Gorgeous Enterprises
Producer: Rupert Smythe
Animation supervisor: Darren Walsh
Animation production company: Passion Pictures
Post production: Moving Picture Company
投稿者 galliano : 03:46 PM
September 29, 2007
Play-Doh
2.5トンのプラスティック粘土
40人のストップモーションアニメーター
3週間
60センチのウサギが189体
30センチの立方体が150個
3メートル×6メートルの紫の波
9メートルの巨大なウサギ
カメラ6台
40人のアニメーターが4秒のシーンのために4時間をかける
1つのシーンのために40人のアニメーターが働くのは前代未聞
60秒のCMのために約100000枚のスチール写真を使用
「Balls」「Paint」に続いてソニーのブラビアがまた新しいキャンペーンを
立ち上げました。その名も「Play-Doh」。今回の舞台はニューヨーク。
どうやら前代未聞の屋外アニメーションフィルムのようで。
サイトではまだティーザー映像しか公開されてません。
3つの企画を見てきて、キャンペーンとしての共通点を発見。
それは「リアルであらねばならぬ」ということではないかと。
合成ゼロの実写撮影に無茶といえるほどこだわっているのは
ブラビアの「リアルな色の再現力」を訴求するためでしょう。
完全版の公開が待ち遠しいですね。
投稿者 galliano : 06:08 PM
February 17, 2005
リーバ / リンクス24-7 / 「服を着ていく」 / 他2本
TVC004:
"GETTING DRESSED"
by BARTLE BOGLE HEGARTY UK
for LEVER FABERG
【CMストーリー】
ベッドの上で目覚める男女のカップル。2人ともどこか気恥ずかしそう。ベッドのまわりに落ちている下着を手に取り、身につけ始める。階段にまで散乱している下着達が、昨夜の2人の情熱の激しさを物語っている。
次々と散らかった服を着ていく2人。玄関の門にまで服が引っかかっている。落ちている服を拾いつつ、着ていきつつ、とうとう下着姿で街に出てしまう2人。歩道の上、ハイウェイの上、線路の近く、街中の信号に引っかかっていた服はクルマの通行を止めていて… スーパーマーケットの中に入っていく2人。野菜の棚にまで靴などが散乱している。そして最後に視界に入ってきたのは…昨夜から放置されていた2つの買い物用カート。すべての衣服をやっと身につけた2人は、少しの間、優しい視線を交わしつつ、連絡先も交換しないまま、お互い別方向に歩み始める。
コピー「だっていつそれが起きるのかわからないから。リンクスの香りは24時間有効です。」
【CMアイデアカテゴリーと解説】
出会う・別れる+マニアになる+隠す+アダルト
わたくしの大好きなユニリーバのAxeのCMです。国によってアックスAXEという名前だったり、リンクスLYNXと呼ばれたりするこの香水が最初にローンチ(デビュー)したのは1983年、以来20年以上にわたり、いまでは約60ヶ国で香水のトップブランドとして知られています。僕が最初にこの商品のCMを見たのは2002年のカンヌ広告祭の会場でした。そのCMは「Love in the air」。授賞式でのこの作品の上映に観客から自然に起きた手拍子がまだ耳に残っています。テンポのいい表現に、ノリのいい音楽。このCM一本でわたくしはaxeのファンになってしまったのでした。まだ買ったことはないけれど…
そしてそのaxeが、表現もぐっと大人になって2004年のカンヌに帰ってきた! 見事金賞を受賞しました。一度見たら忘れられない、なんとも情感が良い感じにあふれつつも新鮮な表現と構造になっている。Love in the airに負けず劣らす、今回のCMも僕は好きです。毎回内容が大人、「アダルト」向けだからだってのもありますが…(笑)
【アイデアから表現まで】
アドアイデアは
『リンクスをつけていると、またたく間に若い女性にモテてしまう。』
ですね。
この商品の他のシリーズでは、ここに「香り(威力)長持ち」という商品メッセージが追加されることもあります。しかし今回のCMでは長持ちという点はストーリーではあまり重視されていないように見えます。その分コピーで「香り長持ち」というメッセージを強調するように作られていますね。
ところで僕が何故このシリーズを好きかというと、人間の根元的な「欲望」が描かれているからだと思います。人の「欲望」と強くリンクする広告は強い。というか「欲望」とリンクしない広告は、表現が面白くなっても人の気持ちになかなかアクセスできないため、心に残らないことが多いと思います。
そしてこのCMで刺激されるのは、「美女と、出会ったとたんに惚れられて即Hしたい」という男性誰しもが持っている恐しく即物的な「欲望」です。ほとんど出会い系サイトのメッセージレベルですね(笑)
ふと「欲望」は広告の母、なんてコトバが浮かびましたよ…
とはいえ、その即物的な欲望を、そのまま描くわけにはいきません。何故ならあまりにもダイレクトな欲望のため、単なるエロ刺激CMになってしまうからです。
そこで今回のユニリーバの制作者達は、事実を逆回転するかのように行動を追っていくCMを作りました。それはまるで映画「メメント」にみられるような、ちょっとしたパズルのような知的なアプローチ。でもアタマをそんなに使わなくても理解できる仕上がりになっています。
さて、アイデアから表現への流れは、こんな感じでしょうか。
1:『リンクスをつけていると、またたく間に若い女性にモテてしまう。』
2:それはいついかなる時でも、
たとえば…スーパーマーケットでも始まってしまう。
3:それは間違いなく、情熱的な出会いになる。(アダルト)
4:どれぐらい情熱的かというと、そのままスーパーでお互いが服を脱がし始め、
家に向かって歩きながら最後には路上で下着姿になってしまうほどである。
(マニアになる)
5:すなわち街中に服を脱ぎ散らかしている。(過剰にする)
6:一夜があけた朝、彼らは服を着るために昨日の行動を逆にたどることになる。
(隠す)
以上のように、全体のストーリーを組み上げてから
6から逆に描いて行くとこのCM表現が完成します。
唄はオズの魔法使いから、「虹のかなたに」。
ちなみにこのCMは90秒、かなり長いです。上でご紹介した2002年のLove in the airは40秒ですが、テンポがいいからか「香りが以前より持続する」という内容を加えたメッセージをしっかりと「誇張して」伝えることに成功しています。
ではここで、20秒でこのアドアイデア、『リンクスをつけていると、またたく間に若い女性にモテてしまう。』はどこまで伝えられるか、一つの結果をご覧いただきましょう。それはメキシコのaxeの広告です。CMはこちら。
いかがでしたか?上手ですよね。しかしこんなに単純なストーリーでも、描くのに20秒かかっているのです。このアドアイデアよりも遙かに複雑なCMメッセージを15秒に詰め込む仕事をしている僕らっていったい…いえいえ、それはそれで工夫する日々ですよ…☆ というかブリーフを鵜呑みにせず、その複雑なメッセージは15秒ではとてもじゃないけど伝わらないから、こういうメッセージ、アドアイデアにしましょう、とクライアントを説得し、面白いアイデアが生まれる土壌を作り出す事こそが、クリエーティブディレクターの大事な仕事で…話がそれましたね。そういう話はまた別の機会に。
しかしaxeファンとして、商品を持ってないのはまずい。マジメに買いたいです。いずれ海外でゲットしてきますよ…(笑)
"GETTING DRESSED"
client : LEVER FABERG
agency : BARTLE BOGLE HEGARTY UK
director: Rosie Arnold
country :UK
year :2003
モテる技術
posted with amazlet at 05.02.23
デイビッド コープランド ロン ルイス David Copeland Ron Louis 大沢 章子
小学館プロダクション (2002/04)
売り上げランキング: 1,422
通常24時間以内に発送