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24 対比する

June 27, 2010

TVC128 P&G / Old Spice / The man your man could smell like



2010年度カンヌ広告祭のフィルム部門は、2作品がグランプリを分け合う結果に!
そのひとつ、オールドスパイスのCMをご紹介します(追記:グランプリはこの1本でした)。

えっ、彼が話している英語がわからない?では続きに全文と訳を掲載しましょう!

「ヘイ彼女達!キミの彼氏を見てごらん。そして僕を見る。また彼氏を見て、僕を見る。悲しいよね~彼は僕じゃないんだな。だけどキミの彼氏が女っぽい香りのボディソープを使うのをやめてオールドスパイスに変えたら、僕と同じ匂いがするようになるよ。下を見てごらん。視線を僕に戻して。キミは何処にいる?キミは彼氏と同じ匂いがする男とボートに乗っている。キミの手には何がある?僕を見て。この真珠貝の中にキミの好きな二枚のチケットがあるよ。もう一回見て。このチケットはダイヤモンドに変わるのさ。全てが可能になるんだ。キミの彼氏が女っぽい香りじゃなくオールドスパイスの香りを使うようになったらね。僕は馬に乗ってるよ。<男の香りへ。オールドスパイス>」

“Hello, ladies, look at your man, now back to me, now back at your man, now back to me. Sadly, he isn’t me, but if he stopped using ladies scented body wash and switched to Old Spice, he could smell like he’s me. Look down, back up, where are you? You’re on a boat with the man your man could smell like. What’s in your hand, back at me. I have it, it’s an oyster with two tickets to that thing you love. Look again, the tickets are now diamonds. Anything is possible when your man smells like Old Spice and not a lady. I’m on a horse.” [Smell like a man, man. Old Spice]

30秒の中にものすごい量の台詞が詰め込まれていますね。内容から予測するに、映画館にやってきたカップルがターゲットなのでしょう(追記:スーパーボウルでオンエアされたCMでした)。そしてメッセージは以下のとおり。

「隣に座る彼氏とオレを比べて見ろ、オレの方が強烈にセクシーだろう。しかもこの腰のタオルの中に興味あるだろう。ふっふっふ。彼氏をちょっとでもオレに近づけたいなら、二人で同じボディソープを使うのをやめて、彼氏用にオールドスパイスを買うこった。彼氏を白馬の王子に変えようぜ。ヒューヒュー(口笛)」

 ダイレクトです。アホアホです。

でも一見アホにしか見えないこの広告ですが、よくよく考えてみると戦略は精密かつ大胆かつ正確。男性用のデオドラント商品を本人ではなくガールフレンドにアピールして戦略を差別化。しかもそれを元NBL選手で俳優のIsaiah Mustafa(このCMで大人気に)がメッセージする。非常に強いインサイトを感じるし、ストラテジも明確。売上は相当向上しているに違いないありません。

また古典的なCMに見えますが、最新技術も投入されており、コピーも強い。人気を集める要素がたっぷり。その証拠にこのCM、4月にスタートしてからたった2ヶ月で1000万アクセスを超えています。この恐るべきスピード感、立上り感こそCMの底力なのです。

「CMの復権」、そんな言葉が自然に浮かんできます。ネットも強い。しかしCMにはCMの良さがある。今年のCM審査部門の議長であるマーク・タッツェルが、この作品をグランプリに選ぶことで伝えたかったメッセージは、きっとそういう事なのでしょう。

ウェブサイトはこちら→Old Spice Website やはり素晴らしくおバカ!

CMアイデアカテゴリとしては、「ありえない映像をリアルに作る」「説明する」「実証する」「対比する」とします。 もうひとつのグランプリ、Philips社の「The Gift」については後ほど紹介。


訂正1:フィルム部門のグランプリが2本あったというのは間違いで、このCM1本がグランプリでした。もうひとつのグランプリはフィルム部門クラフトカテゴリーのグランプリです。
訂正2:映画館ではなく、スーパーボウルでオンエアされたCMでした。


Agency: Wieden+Kennedy, Portland

Executive Creative Directors: Mark Fitzloff, Susan Hoffman
Creative Directors: Eric Baldwin, Jason Bagley
Copywriter/Art Director: Eric Kallman
Copywriter/Art Director: Craig Allen
Agency Executive Producer: Ben Grylewicz
Agency Producer: Erin Goodsell

Production Company: MJZ, Los Angeles
Director: Tom Kuntz ← トム・クンツ!
Executive Producer: Jeff Scruton
Line Producer: Scott Kaplan
DP: Neil Shapiro

Editorial: Final Cut
Editor: Carlos Arias
Post Executive Producer: Saima Awan

VFX:The Mill ← ザ・ミル!
VFX Supervisor: Phil Crowe
VFX Producer: Arielle Davis


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投稿者 galliano : 10:54 AM

March 18, 2005

TVC031 ルノー / エスパス / 「ヘクター」

Renault Espace XxTVC031:
"Hector"
by Publicis, Paris
for Renault Espace

【CMストーリー】
大きなターミナル駅を忙しく行き交う人々。その足下を、薄っぺらいマンガのキャラクターが歩いている。彼は電車に乗り、野山を駆け、川を渡っていく。そして目指した先は…


【コピー】

 スペースこそ、究極の贅沢ではありませんか? ルノー。

【CMアイデアカテゴリーと解説】

 ありえない映像をリアルに作る+擬人化する+対比する

一度見ただけで大ファンになってしまった、ルノー・エスパスのCMです。狭い枠の中に生きてきたマンガのキャラクター「ヘクター」が枠を飛び出して、広々とした場所〜究極の贅沢〜を目指して旅に出ます。エスパスの広さと、ヘクターが住んでいた枠の中の狭さを対比させて、人のように欲求を持った人物として擬人化し、「マンガのキャラクターによる現実世界の旅」というありえない映像をリアルに作っています。CGが本当にすばらしい。また音楽もいいですね。

そして!本当に注目すべきは!パックショット(商品カット)の短さです。この60秒のCMの中で、エスパスが写るカットはたった3秒間です。でもエスパスはフランス人全員が知ってるクルマなので、3秒で充分なのです。

またこのCMを見ただけではわかりませんが、パリの街には間違いなくこのCMと同じキャンペーンのビルボードが山ほど掲示されていたはずです。そこには同じキャッチコピーがあり、クルマの横にはきっとこの「ヘクター」がいることでしょう。

フランスのクルマの広告の考え方って、日本とはぜんぜん違うんです。TVはそのクルマの性格やコンセプト、あるいは人々に与えるベネフィットをエモーションたっぷりに伝えることに徹して、デザインを長時間見せるということはあまり重視されません。なぜならクルマのエクステリアデザインは雑誌広告やビルボード、新聞広告などの時間が止まった媒体で長時間見せることができるからです。

特にビルボードは重要視されているようです。なぜならクルマの写真を、時には実物より大きなサイズで見せることができるからです。クルマは大きな製品なので、大きな写真で見せるのはとても効果的、だと思われているようです。クルマのデザインの量感も、大きな写真なら伝わりますよね。

TVではエモーションを、プリントではデザインを。きっぱり分けたこの考え方が、僕は好きでした。

なんて言えるのも、僕は実はルノーの仕事に携わっていたことがあるのです。セーヌ川岸のルノー本社に何度も訪問しました。そして広告担当者に幾度と無く「君の広告でこのクルマのエモーショナルベネフィットが充分伝わるのか?」と聞かれました。「もちろんです」と答えてましたが、今考えてもこのCMのレベルには全然達してませんでしたよ…(涙)

クルマの広告となると、クルマ好きなのでしゃべりすぎてしまいますね。。。。

【予測されるアドアイデア】

 ルノーエスパスの広さは、誰もが欲しがる究極の贅沢である。


1クリック毎に(プレゼンがマジ迫ってきたgallianoに)元気が出ます!
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"Hector"
agency: Publicis, Paris

client: Renault
country : France
year : 2005







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投稿者 galliano : 02:29 AM | コメント (0) | トラックバック