September 02, 2012
DIY オンド・マルトノMIDIコントローラの制作(3)DIY Ondes Martenot MIDI controller project (3)
今年の5月から7月にかけて、幻のフランス製電子楽器『オンド・マルトノ』の発想をベースに『オンド・マルトノMIDIコントローラ』を制作した。その過程について3回に分けて記録する。最終回は組み立て後の仕上げ・プログラミング作業と今後の展開について。Arduinoスケッチも公開します。
完成したオンド・マルトノMIDIコントローラの試奏ビデオ
最近出たMiniNovaが気になってます。
(2の続き)
やっとテストベッドがカタチになったのだが、音を出す前にすべき事はまだまだある。
まずは音程をコントロールするために、リング位置に応じたピッチベンド数値を出力する計算式が必要だ。最初にArduinoがリング位置をどのように認識しているかを確かめてみる。準備としてArduinoアプリの『ファイル/スケッチの例/01.Basics/』にある『AnalogReadSerialスケッチ』を使用し、Arduinoと精密ポテンショメータを接続、読み込んだ数値をシリアルモニタ上に表示させておく。次に真鍮製の小さな釘を半音部分に打ち込んだ『音程ボード』をテストベッド上に仮固定し、リングに人差し指を入れ、一番低い『ド』の位置まで指先を左にスライドさせる。シリアルモニタ上に表示された数値は『335(精密ポテンショメータの位置によって異なる)』。次に指先を3オクターブ分右にスライドし、一番高い『ド』の位置まで移動させる。このときの数値は『804』。この結果、3オクターブの数値の差は『469』となった。この数字を用いて計算式を作成する。(注:Arduinoは電源の状態によってアナログ読み込み数値に差が生じる。上記の値はUSB給電の場合であり、電源の電圧などにより数値が変わってくるので注意。またMIDIのピッチベンドは本来『16383』というかなり細かい解像度でコントロールできるのだが、Arduinoから得られる精密ポテンショメータの分解能は1024しかない。ただし469を3オクターブ分の音数36で割ると半音あたりの解像度は『約13』となり、聴覚上段差を感じる事はほぼ無いと予測される。本当はあと数倍の解像度が欲しいところなのだが。)
音程ボードとリングのディテール。鍵盤は原寸大のカラーコピー。
ここまでの文章でお気づきの方もいるだろうが、このオンド・マルトノMIDIコントローラ、要は大きなピッチベンドホイールである。ノートのオンオフMIDI情報はシンセサイザーの『特定の高さのキー』をオンオフするだけで、音程は全てピッチベンドの数値で決まってくる。たとえばリングに通した指先が『特定の高さのキー』の位置にある時は、ピッチベンド数値はゼロである。その位置から指先を右に動かすと数値がプラス方向に拡大し、音程が上がっていく。左に動かせば数値が徐々にマイナスとなり、音程が下がる。この変化は一定で直線的なので、計算式は単純だ。今回のテストベッドでは3オクターブ幅のうち『左端から2つめのド』を『特定の高さのキー』と設定し、ピッチベンド数値がゼロになる位置として計算式を作成した。
x=(y-z)/0.03815
x=求めるべきピッチベンド量
y=精密ポテンショメータの現在の数値
z=『左端から2つ目のド』位置の精密ポテンショメータの数値
0.03815≒(469/3*4)/16383 精密ポテンショメータ数値とピッチベンド数値の比例定数
数式のための計算メモ
ところで上の式を用いて4オクターブをコントロールするためには、使用するソフトシンセのピッチベンド幅が±24であることが必要である。この幅を備えているソフトシンセの中から、私はKORG Legacy CollectionのMono/Polyを選択した。高校時代にMono/Polyの実機を所有していた事が選択の理由だが、ピッチベンド幅を±24に設定できるシンセサイザーであれば何でも構わない。
KORG Mono/Poly
音程コントロールのための計算式は完成した。次は音量コントロール部分の作業を進めよう。組み上げたテストベッドには暫定的にスライドボリュームを取り付けていたが、迅速な音量コントロールが出来ない事がエア演奏により判明したため、オリジナルオンド・マルトノのトゥッシュ部分の様に指の圧力でコントロールする仕様に変更した。マイクロスイッチに前述の小型圧力センサを接着し、マイクロスイッチでノートのオンオフを、指先にかける圧力の大小で音量をコントロールする事にした。こちらも先ほど使用した『AnalogReadSerialスケッチ』を使って圧力センサからの数値を読み込み、簡単な数式を作成した。
トウッシュ部分アップ
ここまでの計算式などを元にして初期のスケッチが完成、YAMAHA USB-MIDIインターフェース UX-16を通じてソフトシンセに接続し動作をテストしてみた。すると…音が…鳴った! 音程ボードに合わせて気持ちよく演奏ができる!しかもレーザーテルミンの時のような音程の誤差が無い!(1参照)ビブラートもリアルタイムでばっちり!念願の、楽器として演奏できるレベルである。単に計算した通りに動いただけなのだが、私はすっかり感動してしまった。この『実働した』という瞬間が電子工作の一番の醍醐味である。
しかしMake:の世界は甘くなく、すぐに新たな問題が出現した。しばらく演奏しているとチューニングがズレてくるのだ。原因はタコ糸の『滑り』である。演奏中にリングを左右に素早く動かすとタコ糸とプーリー位置にズレが生じ、その蓄積によって段々とチューニングがズレてくるのだ。これではとてもじゃないが楽器とは呼べない。さっきの喜びはどこへやら。そこでさらなる試行錯誤を繰り返し、プーリーにヤスリでギザギザの滑り止め加工を施す事と、任意のリング位置を瞬時にピッチベンド量ゼロ位置に設定できるチューニングボタン(下の完成画像参照)を追加することで問題を解決した。演奏の合間にチューニングするというのはなかなかアナログな行為であり、楽器っぽくて気に入っている。
プーリーの滑り止め加工
ここで仮組みしていた部品などを固定し、オンド・マルトノMIDIコントローラの基本的な部分が完成した。
いったん完成の後も、様々なモディファイを行なっている。まずはオリジナルオンド・マルトノにもあるような、演奏中に音の表情を変えるためのカットオフスライダを装備した。これがなかなか具合が良い(上写真及び演奏ビデオ参照)。また、ピッチベンド幅調整用ボリュームも追加し、ソフトシンセの音色作成の際に利用している。音色については前述したMono/Polyでオンド・マルトノに近い音を数種類作成した。しかしこれはMIDIコントローラなのでオリジナルの音色にこだわる必要はなく、楽曲に合わせて幅を広げて行きたいと思っている。将来的な予定としては、4オクターブ以上の演奏に対応できるようオクターブUP/DOWNボタンを追加する予定である。その他にも音色変更用のボタンを追加したいと考えており、丸裸のデザインもなんとかしたい。コントローラの進化は当分続きそうだ。
制作に要した期間は約2ヶ月、金額は約15000円。内訳は、Arduino2760円、プーリーが4つで3360円、精密ポテンショメータが約1500円、圧力センサが800円程度、あとは各種スイッチ、抵抗類、ブレッドボード、配線、板、ネジなどである。
さてお待ちかねの演奏である(といっても冒頭と同じ映像なのだが)。最初はテルミン定番の『白鳥(サン・サーンス)』からということで、GarageBandでカラオケを作成し、演奏してみた。かなり良いところまできていると思うのだが、いかがだろうか。この先、トリ音さんが演奏していた『亜麻色の髪の乙女』や『月の光(ドビュッシー)』など、レパートリーを広げたいと思っている。呼ばれれば演奏もします(笑)。
演奏してみました(アンコール)
3回連載『オンド・マルトノMIDIコントローラの制作』は以上である。実物を見たこともないオンド・マルトノを、「出来るような気がする」という思いだけでなんとか制作することができたのは、やはりArduinoの存在が大きい。ハードウェア(工作)とソフトウェア(プログラミング)を組み合わせて問題を解決するプロセスはパズルで遊んでいる感覚に近く、とても楽しいものだ。ビバ、フィジカルコンピューティング!
このエントリをきっかけに、一人でも多くの人がArduinoを触るようになれば望外の幸せである。
スケッチ
////////////////////////////////////////////////////////////
// Ondes Martenot MIDI controller for Arduino UNO 9V v0.0
// Mitsushi "Galliano" Abe 2012.9.1
// http://gam.boo.jp/blog/archives/2012/07/midi.html
////////////////////////////////////////////////////////////
// Connect the pressure sensor (volume) to A0, the micro switch (note on) to D7
// Connect the center pin of 10-turn potentiometer (pitchbend) to A1
// Connect the push switch (tuning adjust) to D8
// Connect the center pin of slide potentiometer (cut off, not must) to A3
// Connect the center pin of potentiometer (to control pitchbend range, not must) to A2
// Connect Mac>>USB-MIDI(IN)>>Arduino
// The software synthesizer must have +- 24 pitch bend range for 4 octave control
////////////////////////////////////////////////////////////#include <MIDI.h>
#define SWITCH 7 // connect the micro switch to D7
#define PITCHADJUST 8 // connect the push switch to D8
int PITCHADJUST_RANGE = 0;
int PITCH_RANGE = 24;#define PITCHINPUT 1 // connect the center pin of 10-turn potentiometer to A1
int sensorPin = 0; // connect the pressure sensor to A0
int sensorValue;
int midiValue = 0; // volume Value
int old_midiValue;
int cc = 7; // main volume for MIDI control changeint bendPin = 2; // connect the potentiometer to A2
int bendValue;
int midibendValue = 0; // bend Value
int old_midibendValue;
int br = 58; // MIDI bendrange change (depends on user's difinition)int cutoffPin = 3; // connect the slide pot to A3
int cutoffValue;
int midicutoffValue = 0; // cutoff Value
int old_midicutoffValue;
int cu = 74; // MIDI cutoff changeint midiCh = 1;
int notecounter = 0; // Counter used to avoid refrainig note on
int val1 = 0;
int val2 = 0;
int data3 = 0;int MIDI_ROOT_NOTE = 60;
byte lowerBits; // Pitchbend value LSB
byte upperBits; // Pitchbend value MSB
int iCounter = 0; // Counter used to reduce the sample rate
byte noteOnToggle = HIGH; // Used to hold the state of the beamfloat MIDIPITCHSCALE = 0.03785;
void SendMIDI(char cmd, char data1, char data2)
{
Serial.write(byte(cmd));
Serial.write(byte(data1));
Serial.write(byte(data2));
}void control(){
val1 = digitalRead(SWITCH);if(val1 == HIGH)
{
notecounter = notecounter + 1;
if(notecounter == 1)
{
SendMIDI(0x90, MIDI_ROOT_NOTE, 127); // Send the root note
}
}
else
{
// NOTE OFF
SendMIDI(0x80, MIDI_ROOT_NOTE, 127); // Silence the note
notecounter = 0; // Reset the counter
}
}void volume(){
sensorValue = analogRead(sensorPin);
midiValue = sensorValue / 7.6;
if(midiValue>127){midiValue=127;}if(midiValue != old_midiValue)
{
SendMIDI(0xB0, cc, midiValue);
}
old_midiValue = midiValue;}
void bendrange(){
// connect the potentiometer to A2
// this pot controls pitchbend range
// this is not mandatory
bendValue = analogRead(bendPin);
midibendValue = bendValue / 8;
if(midibendValue>127){midibendValue=127;}if(midibendValue != old_midibendValue)
{
SendMIDI(0xB0, br, midibendValue);
}
old_midibendValue = midibendValue;}
void cutoff(){
cutoffValue = analogRead(cutoffPin);
midicutoffValue = cutoffValue / 8;
if(midicutoffValue>127){midicutoffValue=127;}if(midicutoffValue != old_midicutoffValue)
{
SendMIDI(0xB0, cu, midicutoffValue);
}
old_midicutoffValue = midicutoffValue;}
void ProcessAnalogValue(byte i)
{
// get a value for the GP sensor on pin i
float _x = Z(i);
val2 = digitalRead(PITCHADJUST);
if(val2 == HIGH)
{
data3 = analogRead(1);
PITCHADJUST_RANGE = 608-data3; // 608 is the middlepoint of pitchbend plus 1
}
// 0 - 16383 is the full 14 bit pitchbend range
int _converted = (int)((_x-297+PITCHADJUST_RANGE)/ MIDIPITCHSCALE);if (_converted > 16383)
{_converted = 16383;}if (_converted < 0)
{_converted = 0;}// Convert this 14 bit range value to LSB and MSB bytes
lowerBits = (byte)(_converted & 0x7F);
_converted >>= 7;
upperBits = (byte)(_converted & 0x7F);// Now output the message
SendMIDI(0xe0, lowerBits, upperBits);
}float Z(byte pin)
{
int tmp;
int data1 = 0;
int data2 = 0;
int summary = 0; // summary of input data
int h;// get average data from analogpin0
for(h=0;h<10;h++){
data1 = analogRead(pin);
summary = summary + (data1);
}
tmp = summary/10;
return (float)tmp;
}void setup(){
MIDI.begin(1);
Serial.begin(31250); // Set MIDI baud rate:
SendMIDI(0xB0, 0x65, 0);
SendMIDI(0xB0, 0x64, 0);
SendMIDI(0xB0, 0x06, PITCH_RANGE); // Set pitchbend range
pinMode(SWITCH, INPUT);
pinMode(PITCHADJUST, INPUT);}
void loop(){
volume();
bendrange();
cutoff();
control();
ProcessAnalogValue(PITCHINPUT);
delay(1);
}
Arduinoを始めるにはこの本から。
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投稿者 galliano : 08:12 PM
August 05, 2012
DIY オンド・マルトノMIDIコントローラの制作(2)DIY Ondes Martenot MIDI controller project (2)
今年の5月から7月にかけて、幻のフランス製電子楽器『オンド・マルトノ(Ondes Martenot)』の発想をベースに『オンド・マルトノMIDIコントローラ(Ondes Martenot MIDI controller)』を制作した。その過程について3回に分けて記録する。第2回は全体のデザインと組み立てについて。売り上げランキング: 26776
(1からの続き)
なんとかなりそうだという予感を感じた時には、頭の中に以下のような全体の構成が浮かんでいた。
この3点が完成すれば、とりあえず音は鳴る。よし、まずは材料集めだ。
その1:滑車4つに、指を通すリングを結んだ糸をピンと張る。滑車の1つには回転量を測るセンサが付いており、これが音程を制御する。
その2:音量を制御する部分は、スライド式ボリュームで試してみる。
その3:それぞれのセンサの値はArduinoによってMIDI信号に変換され、ソフトウェアシンセサイザの『ピッチベンド(PitchBend)』と『ボリューム(Volume)』をコントロールする。
最初に向かうのは当然秋葉原。ここで調達すべき最重要部品は、上記その1に使用する回転数センサである。前述のDanaによるコントローラにはThe 10-turn, 100K potという聞いたことも見たこともない部品が使われていた。そもそもpotって何だ?と調べてみるとPotentiometerの略で、単なる可変抵抗(ボリューム)の事であった。しかし10-turnとは10回転を意味するのだが、そんなに回転する可変抵抗なんて聞いたことがない。それはギヤで減速しているのか??精度は?とりあえずググッて見ると、海外メーカーのサイトは見つかったが秋月電子などのパーツ屋さんでは検索しても出てこない(注1)。果たしてこのセンサは日本で売られているのか?もし無かったら通販で輸入か?などの疑問と不安を抱えつつ、秋葉原電気街の秋葉原ラジオセンターに行ってみた。そして可変抵抗を多く扱っているお店のおばさんに恐る恐る聞いてみると、「あるよ、そこに」と指差すではないか。おお!これが10回転式可変抵抗か!!!問題はあっさり解決した!もしかすると私は感動してちょっと涙ぐんでいたかもしれない。目をうるうるさせながら抵抗軸をぐりぐりと回す私の姿をおばさんはどう見たのだろうか。それはさておき値段は1500円弱と高価である。しかし一番重要なパーツなので迷うことなく購入した。抵抗値は10kΩ(キロオーム)、10回転で止まるようになっているが、構造は不明だ。さらには、なぜかメキシコ製。精度は大丈夫か。
(注1:後に秋月電子でもヘリカルポテンショメータという名前で販売されているのを発見し、これも購入した。他店でも発見したが、なんとこのパーツ、ヘリポットや精密ポテンショメータなど決まった名前が無い。検索しても出てこないはずだ。以下精密ポテンショメータと呼ぶ。ちなみに今回は回りが軽いメキシコ物を使用した。)
これがメキシコ製精密ポテンショメータ。10回転10kΩ。
次は滑車(以下プーリー)である。これは以前ロボットの部品を扱っていた千石電商の秋葉原3号館で見た記憶がある。訪問してみるとまだ豊富な品揃えが残っていた。外形40ミリのアルミ削り出しプーリーを計4つ購入。内訳はシャフト内径が3ミリのものが3つ、6ミリのものが1つである。1つだけサイズが違う理由は、それを精密ポテンショメータと直結させたいからだ。ポテンショメータ軸の外径は6ミリなのでピッタリ一致する。これはラッキー! ついでに糸の張りを保つスプリングも購入。
アルミ削り出し滑車。1つ840円。精度も値段も高い。
次に同じ千石通商本館2階でArduinoを購入。ここはArduino関連商品の品揃えが多く、とても便利である。ついでに「もしかしたら使うかも」と思って小型圧力センサも購入。これが後々正解となるのだが、詳しくは後述。 その他小型ブレッドボードやスライド式ボリュームは秋月電子で購入。以上で電子関連の買い物は終了なので、工作物関連の部品を買いに東急ハンズ渋谷店に向かう。
Arduinoは、今年新しくデビューしたUNOを使用。
紙箱に入ったりシールがついたりと、全体がシャレ乙になった、
東急ハンズに行く前に、ある程度は全体サイズの目処をたてておかなくてはならない。そこで部品を揃えつつ、設計も同時進行。イラストレーター上で各種部品をあれやこれやと配置してみる。音楽用キーボードのスタンダードサイズ幅も調査し(1オクターブ7鍵が165ミリ、3オクターブ=165*3+23=518ミリ)、原寸で図面上に置いてみると3オクターブを演奏できるサイズが使いやすそうだ。左側は操作部分を進化させたいためスペースに余裕を持たせたい。また土台については、今回は動作確認用テストベッドなのでデザインは気にせずとりあえず平たい板があれば良い。そしてハンズで選んだのが150*910サイズの板である。これぐらいの大きさなら左側に少し余裕もありそうだ。それと忘れちゃいけないのが、音程を右手の指先で感じる部分〜指センサ部とでも呼べば良いのか〜の部品。土台の板に直接加工すると失敗できないので、この指センサ部用に細く薄い板(30*600)を購入した。その他各種ネジ類や釘、スペーサー、底面用ブッシュゴム、精密ポテンショメータ固定用の0.5mmアルミ板、指を通すためのリング用としてキーホルダーリングを購入。リングに結ぶ糸はとりあえずタコ糸でテストしてみることにした。
板の購入前に書いた第一次設計図。若干実物とサイズが違う。【クリックで拡大】
あとは作るのみである。実際の板サイズに合わせた図面データを原寸でプリントアウトし、正しい場所に穴を開け、部品を取り付けて行く。その中でも試行錯誤があり、MIDIコネクタの位置などは図面と違う場所に設置した。これで一旦テストベッドは完成したが、なんだこれは? とても楽器には見えない不思議なシロモノである。これでトリ音さんや竹内正実さんの素晴らしいテルミン演奏に近づけるのか? いろいろ不安はあるのだが、とにかく今は指先をキーホルダーリングに突っ込んで左右にスライドさせつつ、きっと流れ出るであろう素敵な調べを脳内イメージするしかないのである。
各部品をネジ止めしてテストベッドが完成。配線はまだ無い。
▼Arduino初心者にお薦めのスターターキット。
投稿者 galliano : 03:24 AM
July 28, 2012
DIY オンド・マルトノMIDIコントローラの制作(1)DIY Ondes Martenot MIDI controller project (1)
今年の5月から7月にかけて、幻のフランス製電子楽器『オンド・マルトノ(Ondes Martenot)』の発想をベースに『オンド・マルトノMIDIコントローラ(Ondes Martenot MIDI controller)』を制作した。その過程について3回に分けて記録したい。第1回は制作までの道のりである。
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オンド・マルトノの話に入る前に、まずは3年前に自作したレーザーテルミンと、その少々残念だったポイントについて触れなくてはならない。それは雑誌『Make:日本版第6号』の記事を元に製作したもので、横長のボディに沿って走るレーザー光を手で遮ることで発音のオンオフを制御し、赤外線距離センサから手のひらまでの距離を測ることで音程を制御する構造だった。この自作レーザーテルミンを使用してArturia社製ソフトウェアシンセサイザ『Analog Factory』を演奏した映像がYoutubeにアップされているのでご覧いただきたい。
galliano自作レーザーテルミンによる演奏『私のお父さん』(2009)
光センサと距離センサから得られた数値をMIDIデータに変換するのは、おなじみArduino(アルドゥイーノ)の仕事。ただし全ての回路とArduino用のスケッチ(プログラム)は、雑誌に掲載されていた記事を忠実になぞっただけで、工作の中身は『雑誌記事の検算』の域を出ておらず、自分のオリジナリティはほぼゼロである。ここが残念なところの一つ。
加えて、完成したレーザーテルミンの演奏はなかなか難しいもので、距離センサの微妙な誤差から高音域の音程がブレがちであった。音量についてもノートオンとオフの二種類しかなく、本家テルミンのようにデリケートな音量調整は行えない。すなわち、演奏するための楽器としては不完全なものだったのだ。
私が幻の電子楽器『オンド・マルトノ(Ondes Martenot)』に出会ったのは、この不満を如何に解消するかを考えている最中の事だった。
「演奏をしっかり楽しみたいなら、本家テルミンを買えばいいじゃないか」という意見もあるだろう。実際、簡易的なテルミンであるテルミンminiを付録とした大人の科学マガジン Vol.17は3冊も購入してしまい、ひとつは家に置き、一つは会社に常備。最後の一つは電話機スタイルに改造するほど気に入っていた。
電話機スタイル版学研テルミンmini(2011)
また本格的なテルミンの中でも、外部音源コントロール出力を備えた最新式テルミン「モーグ:イーサウェーヴ・テルミンプラス(Moog Etherwave Theremin Plus)」はなかなか魅力的な商品である。実はコレ、すごく欲しい。しかしテーザーテルミンを自作し、その結果に悩んでいる以上、吊るしの完成品を買って解決というのはどうにも面白くない。あくまでも自作することで課題を乗り越えたいのだ。このあたりの気持ちは、Make:読者であれば判っていただけると思う。
モーグ:イーサウェーヴ・テルミンプラス
日本製のテルミンとしては、e-windsがよく知られているが、どのテルミンにしても上手い人が演奏すると素晴らしい表情が生まれる。たとえば下のリンク先から鑑賞できるトリ音さんの演奏を聞いていただきたい。この表現レベルに自作の楽器で近付きたいと、ずっと考えていた。
「亜麻色の髪の乙女」(ドビュッシー)e-winds演奏byトリ音さん
そんな中、ふとした拍子にYoutubeで発見したのが『オンド・マルトノ(Ondes Martenot)』である。テルミンと同じ頃にフランスで発明された電子楽器『オンド・マルトノ』についてはwikipediaに詳しい説明があるが、テルミンよりも知名度が低く台数も限られている事から、『幻の電子楽器』とも呼ばれている。しかも現在オリジナルモデルは生産されておらず、中古でも大変な高価格で取引されているとか。さらにはこのオンド・マルトノ、鍵盤部分と3つの大きなスピーカーのセットで成立しており、総重量は100キロを超えると聞く。これは気軽に所有するというわけにはいかない。
とはいえ、出てくる音を聞いてみると、無段階の音程変化がテルミンに非常によく似ており、なかなか心地よい。大いに惹かれるものがある。ぜひ下の画像でその魅力を感じていただきたい。
オンド・マルトノのデモ映像
さてこのオンド・マルトノ、テルミンと違う点がいくつか存在する。まず視覚的に大きく違うのは鍵盤部分を持つ事だが、私が注目したのはここではなく、音程の無段階コントロール部分である。テルミンに見られるアンテナ制御とは違い、リボン(ワイヤー)に取り付けられた指輪状のリングを左右にスライドすることで音程を制御する。またリングの下に凹凸のある音程ガイドがあり、指先の感覚だけで正確な音程を簡単に出す事ができる。音量は『トゥッシュ』と呼ばれる鍵盤型プッシュボタンを左手で操作し、指の圧力や勢いで表情が付けられる。さらにはボタンやレバーの操作で音色を変える事も可能だ。
これらテルミンとの差異は、どれも自作に向いている印象を受けた。そしてもうひとつ、私の制作モチベーションを上げた大事な事がある。それはオンド・マルトノ風に作られたMIDIコントローラがまだ世の中に存在していないという事なのだ!実にMake:心が刺激される素材ではないか。(存在してたらすみません)
ちなみにMIDI制御機能を持たないオンド・マルトノ風の楽器はいくつか存在している。まず実際に販売されている製品として、モジュラーシンセサイザメーカーである『Analogue Systems』社製の『French Connection』が挙げられる。これはアナログシンセサイザー用にCV電圧とGATE信号を出力する機能を持っており、本家オンド・マルトノと同様に鍵盤出力も装備されている。ただしこれは単なるコントローラでしかなく、モジュラー式のアナログシンセに接続しなくては音が出ない。そして値段は、なんと29万円を超える。RADIOHEADがツアーでも使用したそうだが、実に高価であり、素人が手を出せるものではない。
『French Connection(29万円以上)』のデモ映像
その他にもWeb上を見ると、多数の自作オンド・マルトノが発表されている。よく知られているのは『Dana Countryman』氏による『Martenot Controller』であろう。これも『French Connection』同様アナログシンセ用コントローラであり、下の映像内で音を発しているのは後ろにそびえる重厚なモジュラーシンセサイザである。しかしコントローラの構造は非常に単純で、作者による丁寧な解説ビデオがあり、中身の詳細や使用している部品も判別しやすい。作者のサイトにも詳細な制作解説ページがある。そして、Danaは「1万円以下で作ったよ」と言っている! というわけで、私が今回自作したオンド・マルトノは彼のオンド・マルトノの構造を参考にしており、ここで感謝の意を表しておきたい。Thanks a lot, Dana!! ちなみに鍵盤部に設置してあるDX-7は演奏用ではなく単なる音階のリファレンス用である。
『Martenot Controller』の内部構造説明+デモ演奏『Ave Maria』
この他にも、音源を内臓したタイプなど様々なオンド・マルトノがある。ただしどれもMIDIコントローラ機能は備えていないようだ。
その他自作オンド・マルトノ映像
さらにはiPadアプリ版オンド・マルトノも存在している。名前は『Petites Ondes(プチ・オンド)』。なんと日本製の有料アプリで、価格は250円。完成度はすこぶる高く、オンド・マルトノの雰囲気を知るのにはお勧めである。ただし正確に音程を出すのはなかなか難しく、iPad幅の制限からスムーズにコントロールできる音域も狭い。遊び用としては面白いが、演奏用楽器としてはちょっと物足りない。
Petites Ondesのデモ映像
ちなみにこのアプリの開発元は、東京・浅草でリアルなオンド・マルトノレプリカを制作している『浅草電子楽器製作所』である。ASCII.jpによる楽しい会社紹介の記事はこちら。
伝説の電子楽器をツマミに酒を飲む~浅草エレキスポット巡礼
最後に『リボン・コントローラ』にも触れておかねばなるまい。テルミンやオンド・マルトノに似た無段音階コントローラであるリボン・コントローラは、単体で音が出るもの、MIDI出力を備えたものなど様々なタイプが商品化されている。シンプルではあるがなかなか魅力的な製品であり、テルミン系と比べても比較的安価で販売されている。明和電機による「オタマトーン」もこのジャンルの製品である。ただし既に多数の自作例があることから、リボン・コントローラを自作することは充分可能だが、かなり『出遅れ感』を感じるのが正直なところである。広告同様、何を作るにしても『最初感』はすごく大事なのだ。
自作リボン・コントローラ例。演奏上手過ぎ。
これまで見てきたように、世の中には様々な類似コントローラが存在している。その中でも、演奏しやすそうに見えて表情も豊か、加えてMIDIコントローラ版がまだ発表されていないという理由により、自作オンド・マルトノMIDIコントローラの制作を決意した。
しかし作ってみなければ判らない事だらけで、完成する目処など全く無かった。あったのは、なんとかなりそうだという匂いと、自分には出来るという気持ちだけだった。
▼3冊購入してしまったテルミンmini付き大人の科学
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投稿者 galliano : 10:51 AM
September 20, 2009
Weekend Project: Hasselblad iPhone Grip
Zgrip iPhone Jr.をご存知ですか。これは動画などを安定して撮影するためにiPhoneを横向きにホールドするグリップで、田中長徳さんのtwitterで知りました。値段は$69。思わず注文しそうになったのですが、「これは自分で作れるのではないか?」と思い、手元にあったHasselblad製のピストル型Gripを流用して作ってしまうのがガリアーノ流なワケです。以下はその詳細画像です。
Hasselbradのロゴがシブい!残念ながら引き金でシャッターは、押せません。
家具用?のアングル材を流用。Hasselの5/16インチネジサイズにタップを切る。
固定は髪留め用のゴムです。見栄えはいまひとつですね。
パーツ一式の図。金属加工に3時間。グリップはiPhoneより遙かに重い。
そして使い勝手なのですが、おいおいtwitterで報告しまっす!
投稿者 galliano : 11:32 AM
May 27, 2009
amazing Katamari Damacy controller
KellbotさんがArduinoを使って作成した塊魂用のスチールボールコントローラー。こういうの欲しかったんだ!ほんっとArduinoは素晴らしい。皆を自由にしてくれる。ソースはCrunchGearから。TechCrunchは知ってたけど、CrunchGearがあるのは知らなんだ。
映像の元ネタのサイズは幅640pixel。上の画像はhtmlをいじって480pixelにしてます。そろそろこのブログ、幅広げなくちゃね。
投稿者 galliano : 05:25 AM
May 17, 2009
Laser Theremin完成
先日YouTubeでレーザーハープなるものを発見したんですが、それがまぁ超未来的でかっこよかったワケです。どんな画像かというと、コレですね。
ジャン・ミッシェル・ジャールっていうフランス人の音楽家が演奏してるんですが、この人はシンセサイザーミュージックの草分けの人で、とっても古い人です。僕は80年ごろに彼のレコード を買ってます。もう29年前ですね。iTMSで買い直して未だに聞いてます。しかし、彼がレーザーハープでパフォーマンスやってたというのは知らんかった。最近の話なんでしょかね。よくわかりません。
それで話はいつものArduinoに移るんですが、ジャン・ミッシェル・ジャールに影響されてレーザーハープを自作した人がいたんです。この人ですね。しかもその自作記事が雑誌Make:の日本版最新号 に掲載されてたんです。GW前に発売されたばっかりの第六号に!というわけで僕の「GWにやりたい事第一位」はレーザーハープの作成と決定したのですが…なになに?『弦の数が多いハープを製作する前に、まずは1弦のレーザーテルミンを制作して作業に慣れるべし』と記事にあったので、その通りに作ってみたというのが今回のお話。
というわけでコレが完成したレーザーテルミンです。この正体不明な感じがカッコイイと思ってるんですがいかがでしょう。実はコレけっこうデカくて全長90センチあります。手前側にレーザー発光部と赤外線測距センサがあって、向う側には測光センサがあります。この間に手を入れるとレーザーが遮られてMIDIのノートオン信号が流れます。それと同時に測距センサからの距離に応じてピッチベンド情報が送られて、MIDIで接続されたシンセサイザーの音が鳴るという仕掛けです。手をレーザー発光部に近づけると音が低くなります。普通のテルミンと逆ですね。台の上にある丸い物体は音階の目安用の磁石。コレがないとデカすぎて正確に演奏できません。なんとなくフルートっぽく見えるんで気に入ってます。
これがレーザーの発光部。1個500円。秋月にて購入。しかしこれが赤色レーザーなんですよねぇ。緑色レーザーの方がカッコイイんだけど、1個6500円するのであきらめました。さてコレ500円と安価ですがレーザーはレーザーなので、光を裸眼で見るのは禁止されてます。網膜を確実に痛めます。そういう危険な部分もあるので、このサイズのレーザーテルミンが市販される事は永遠に無いでしょー。
こちらが回路部。下の緑色の基盤がArduinoです。彼が各センサからの情報を判断し、計算してMIDIデータを送信します。完成後、音はすぐ出るようになったんですが、測距センサからのピッチ情報を安定化させるのに苦労しました。なるほど雑誌Make:が『まずは1弦のテルミン制作から始めるべし』と言ったのは、各自ここで独自のノウハウを取得すべしと、そういうことですね。わかります。
というわけで完成したレーザーテルミンを演奏した映像がこちら。
途中から暗くなっちゃうんですけど、なんでこんなに暗くしたかというとレーザーの光を見せたかったからです。しかし真っ暗ですね(笑)。まぁそんなわけでGWを費やして制作したレーザーテルミンですが、完成してからいろんな気づきがありました。
1)まずはやっぱりArduinoは偉いという事。元々電子工作は好きだったけど、レーザーでMIDIをコントロールする機器を自分で制作することができるなんて考えた事もなかった。これまで電子楽器制作はプロの領域だったし、コンピューターをいじるのはエンジニアの仕事だった。そんな定義が少しずつ壊れてきているのを実感してます。コンピューター遊びの幅は確実に広がってるね。
2)次に、フィジカルコンピューティングの未来は明るいということ。Arduinoがあることで、電子の事を詳しく知らないデザイナーやアーティストもいろんなアイデアを実現させることができます。アートの世界も変わって行くでしょうな。これはですね、相当面白くなりそうですよ。
さて、6弦ハープの作成はいつになるのか。。。それは乞うご期待ってことで。
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投稿者 galliano : 08:01 PM
April 18, 2009
My First Arduino
というエントリを書いたのは去年の11月。その後5ヶ月の間眠らせちゃってたArduinoなんですが、下の本「Arduinoをはじめよう」を購入し、先日稼働させる事に成功しました。スケッチをアップロードしてLEDが周期的に光った時は実に感動!フィジカルコンピューティングを肌で感じた瞬間でした。あとは各種センサを買って、サーボを繋いで、ピエゾスピーカーも買って…、しばらく退屈しないぜい!ウェブショップ『スイッチサイエンス』が出店していたので、念願のArduinoを購入。Arduino(アルディーノ)とはオープンソースで提供されているフィジカルコンピューティングのためのプラットフォームで、要は現代の高度化したパーソナルコンピュータと自作した様々な外部機器をつなぐインターフェイスみたいなものです。記憶部と演算部を持っているので、スタンドアロンでも使える所が日本製のGainerと違うところ。ってわけわかんないと思いますが、Arduinoは今、理系人間の間でものすごい人気です。飛ぶように売れてました。うーんこれを使って何を作ろうかなー。
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投稿者 galliano : 06:52 PM
May 15, 2008
ジュールシーフ完成! Joule Thief Insect was complete!
このところ企画しまくりの日々が続いてまして、ふと気がつくと脳の疲労ゲージがレッドゾーンに突入!
休んでいても蒸気機関車のように湯気を吹き上げ続ける頭をクールダウンさせるためには…、これは久しぶりに趣味にどっぷりつかるべきである!ということで1日お休みをいただき、MAKEのホームページで発見して以来試作を重ねてきたジュールシーフを仕上げました。
※ジュールシーフとは、3V以上じゃないと点灯しないLEDを1.5Vの電池1個で点灯させる昇圧回路のこと。ジュエルシーフ(宝石泥棒)にかけてるダジャレネーミングだそうで。詳しい説明はこちら。
完成までの道のりは長かった!何度テストしても昇圧回路が思うように働かず、部品交換のために秋葉原に3回通い、LEDが点灯するまで一週間。やっとのことで回路テストが成功してからはお楽しみのボディデザイン。真ちゅう製のなかなか可愛いヤツが誕生しました。ボディは導通性があるのでアースとして利用。
後ろに見える線はフレーム外にある1.5V単四電池ボックスに繋がっています。
虫のように作ろうと思ったんだけど、完成後よく考えてみたら虫って6本足だよね!
回路は隠さず、目で楽しめるように空中配線。
内臓が見えてる透明な熱帯魚のイメージで。
コンパクトデジカメの接写は難しい…。
秋葉原のパーツ屋情報もずいぶん増えました。マルツパーツ館なんて初めて行ったよ。
さて、次は何を作ろうかなー。
Here is a Joule Thief Insect made in Japan.
The circuit was so simple but it had not worked for a week. I changed some parts but result was same. At last, I bought a ferrite core made for 50kHz-500kHz at AKIHABARA and wound 19 times using enamel line. Then it worked!
Please watch my baby insect. How pretty it is:-).
投稿者 galliano : 03:04 AM
May 14, 2005
発明趣味1(2000 33歳)
2000年頃のある日、突如アイデアが頭にひらめき、携帯用の黒受話器を猛然と制作する。そして携帯より重くて大きいというたいへんバカバカしくも楽しいものが完成した。
そのころといえば携帯電話は「軽く・小さく」がキーワードで、重量が100gを切ったP201が大ヒットしていた時代。そして交換用のスケルトンボディなどが売られ、携帯電話のカスタマイズが大流行していた頃。
受話器は本物でずっしりとしたモノ。船舶通信用受話器を流用。長電話しても疲れない。握る部分のスイッチに配線を施し、携帯電話に触れることなく電話を取ったり、切ったりできる。
完成後、三宿のバーでみせびらかしていたら見知らぬオヤジに2万円で買われてしまう。その後友人達にも制作を頼まれるようになり、10台ほど制作・販売した。「これは売れるのではないか」と事業化を計画し、実用新案まで取得し、「課長、お電話ですよ」という商品名まで考えたが、似た製品が大手おもちゃメーカーから出るということがわかり商品化を断念。その後2000年9月に某社から発売された「なんちゃって黒電話」を見てみると、大きさも重さもリアルな受話器の半分ぐらいの完全なおもちゃ仕様。こちらは本物・高級;・オトナ仕様ってことでそのまま商品化すれば良かった〜と思い、がっくり(笑)。
この黒受話器、今も一台持ってて、ちゃんと動きます。これってクルマの運転中に使ったら捕まるのだろうか…
投稿者 galliano : 12:30 PM | コメント (0) | トラックバック
March 12, 2005
建築趣味(1985-1990 20歳ごろ)
年4回の課題提出。前日徹夜になるのは今と生活がいっしょ(笑)
プロダクトデザインもやってみたかったが建築学科にはそういうカリキュラムはなかった。
写真は1988年設計の表参道プロジェクト。当時から老朽化が問題になっていた同潤会アパートの一つを解体してアパートメントと商業スペースの複合施設にリニューアルという提案。今この場所には安藤忠雄さん設計の商業施設が建築中です。
1:過密都市東京で繰り返し行われる建築という作業は、それ自体が生物的であり、細胞のようなものではないか?
2:都市に突然出現したフランケンシュタインは、花畑で出会ったあの少女に再び出会えるだろうか?
わけわかんないですよね(笑)でもあまりにも異彩を放っていたせいか、なぜか参考作品に選ばれましたよ…
当時好きだった建築家、高崎正治さんの影響を受けてます。
左が商業施設。美容室やバーなどを想定。波打ってるのは帯状に切ったガラスです。右はワンルームのアパートメント。その間を渡り廊下が結んでいます。鉄骨は1本のこらず奇妙な形にねじまがり、その内側に同じ曲率で曲げたネオンが仕込んであります。夜は帯状のガラスからもれる店の光とネオンの輝きが表参道の街を妖しく照らします。
これを設計したずっと後にこの建築を発見して、ウィーンまで見に行きましたよ…
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投稿者 galliano : 01:24 AM | コメント (0) | トラックバック
February 19, 2005
アニメーション趣味(1984 17歳)
アニメ作家にもなりたいと思っていた高校時代。高校生活最後の、5月の文化祭で自作のアニメを上映する。はじまりの朝、9時からのドキドキの初映が終わると同時に観客から拍手が起き、背筋がぞくっとするほどの感動を覚える。そしてその拍手はその後のわたくしの人生をかなり決定してしまったのであった。
【ストーリー】
舞台は機械の理由なき反乱によって完全に崩壊した神戸。
その街を彷徨うように歩くセーラー服姿の女子高生。
彼女は瓦礫の下敷きになって、息も絶え絶えになっている
男性を発見する。その男は、ある物を彼女に渡し、息絶える。
その姿を戦車M-1エイブラムスが見ていた!
戦車は、彼女を抹殺しようと行動を開始する…
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上は上映したアニメ【KOKEN OPENING ANIMATION】のコンテ表紙。そう、今が38歳だから、もう20年以上もコンテを描き続けているわけで… 絵やストーリー、映像の見せ方などは当時からファンであった宮崎駿氏による「風の谷のナウシカ」や庵野秀明氏の影響をうけている。しかし実質制作期間が3日ぐらいだったこともあり、完成度はひどいものでしたよ…
(庵野さんは今ティーダの広告に出てますね→TIDA BLOG たけくまさんのブログでも突っ込みが☆)
瞬時にして現実化したのを見たわたくしは本当に慄然としました…
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この自作アニメに使用された音楽は、
すべてナウシカの音楽でした!
庵野氏も一部制作を担当しています。
今見ても古さを感じない名作です。▼
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原点に帰れ!
全てにおいて革命を与えた作品
投稿者 galliano : 06:07 PM | コメント (2) | トラックバック
February 18, 2005
漫画趣味(1984 17歳)
大友克洋にあこがれ、漫画家になろうと思っていた高校時代。小池一夫先生が塾長をつとめる劇画村塾(げきがそんじゅく)の神戸校がはじまると聞き,親に頼み込んでお金を出してもらい神戸教室第一期生となる。確か1年の学費が67000円だった。
1年目で優秀と認められれば2年目の特待生コースに入学を許され、2年目は学費免除というシステム。そして高校1年から通い始めたわたくしはマンガ作品を全然書かないのに、口八丁手八丁で運良く高校2年生の特待生になれたのでした。西村しのぶさん、田中圭一さんは神戸教室の同期、高橋留美子さんや狩撫麻礼さん(映画とマンガ『オールド・ボーイ』の原作者)は劇画村塾東京校の先輩。って東京校の人とは会ったことないですけど。漫画家の夢いまだにあきらめられず、いつか漫画の原作を書く予定。上は当時、友人主催のイベントのために作成したフライヤー表紙。のっけから相当レアですよ…(笑)
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▼「土屋ガロン」は狩撫麻礼さんの別ペンネームです。
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投稿者 galliano : 02:34 AM
趣味の世界(1984~2004)
ご存じの方も多いかとは思いますが、わたくしgallianoは、先日フジテレビのニューデザインパラダイスに出演して「新しいカルタ」をデザインしました。これがなかなか苦しくも楽しい体験だったのですが…
まず最初に出演の打診をいただいた時は、出演デザイナーとして採用するかどうか最終検討するために自分のプロフィールを提出して欲しいと言われていたのでした。プロダクトデザインが大好きで、自分でも一度是非やりたい!と思っていた僕は、即座に自分のこれまでのデザインや変なグッズの製作体験を書類にまとめ、提出しました。出演できたのはこの書類のおかげかも…!?その書類は、題して、『阿部光史 趣味の世界』なのでした。恥ずかしい題ですね〜ちょっと狙ってたんですけど(大笑)。
では順次、その趣味の世界(1984~2004)を公開していきます。
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▼ちなみに「新しいカルタ」、ここにはまだ載ってませんよ…
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