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December 08, 2012

明日の電子工作フェスティバル2012 に出展します!

明日12月9日、3331 Arts Chiyodaで開催される電子工作フェスティバルにオンド・マルトノMIDIコントローラを展示します!

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残念ながら拙作(下写真)は受賞には至りませんでしたが、展示させていただける事になりました。以下はフェスティバルのウェブサイトから。

生活、エンタメ、ビジネス、アートを支える技術である電子工作の文化を広めることと、才能あるクリエイターを発掘するために開催される、年に一度の作品発表会「電子工作コンテスト」のフィナーレを飾るイベント「電子工作フェスティバル」を2012年12月9日に開催いたします!

日時 2012年12月9日(日)12:00-17:00
会場 3331 Arts Chiyoda
   東京都千代田区外神田6丁目11-14
   ※メイン会場:体育館(2F)
   第2会場:はんだづけカフェ(3F)
会費 入場無料

詳しい情報はウェブサイトをご覧ください。

オンド・マルトノMIDIコントローラを一般に展示するのは初めての事。できる限り演奏OKにしたいと思います。他にも60作品ほど展示されるようなので、ご興味のある方は是非ご来場ください。Makerの皆さん、観客の皆さんに会えるのが楽しみです!

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投稿者 galliano : 07:43 PM

Maker Faire 2012に行って来ました!

先週の日曜日、日本科学未来館で開催されたMaker Faire 2012に行って来ました!

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これまでMake Tokyo Meetingという名前で開催してきたこのイベントですが、今回からグローバル展開と同じく『Maker Faire』という名称に変更。場所もここ数年続けて開催されてきた東工大から日本科学未来館に移動です。ウチからはちょっと遠くなりました。

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その日本科学未来館ですが、実は僕、かなり通ってます。ここでMaker Faireが開催されるとは感無量。

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Makeイベントでいつも見かけるシトロエン2CV珈琲屋さんも営業中。この車、大学時代に乗ってました。

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空をみあげてみると、いきなりクアッドコプターが飛行中!いや、6ローターだからヘキサコプター?

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JapanDronesさんによる自動操縦の実演です。なかなか正確な3次元移動でした。

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さて中に入ってみると…

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いた!クラタス!

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これを見に来たんですよ!

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顔つきもなかなかカッコイイ!

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じっくり見る前に、まずは前売り券を入場チケットに交換です。

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前売り券はステッカーがついてきます。

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再びクラタス。

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抽選によるコックピット体験会を開催中。ハッチが開くとどよめきが。

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乗るだけで、操縦はできなかったようですね。

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後ろから見るとこんな感じです。細部まで完成度高いです。

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さて中へ。すごい熱気と、すごい人!このホールにこれだけの人が集まってるのを初めて見ました。

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まずはオートデスク株式会社さんのブースから。3D紙模型の組立てワークショップ中。オートデスク製無料3Dソフトの事は、今売れてる本MAKERS―21世紀の産業革命が始まる にも何度も出てきます。

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でもそのソフトは僕のMacでは動かないんです。OSが古過ぎて。残念。

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先ほどのJapanDronesさんによるクアッドコプター。手作り感満載。

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こちらは会場前で飛んでたヘキサコプターですね。Goproカメラが付くっぽい。

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レーザーカットによる紙細工。なんだかカッコいい!

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垂直な金属の壁を磁石の力で走れるロボット。wiiリモコンでコントロール。

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3Dプリンタ関連の出展も増えてました。これは超絶高精細プリントアウトによる事務椅子。足が回るのですが、一体でのプリントアウトです。

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3Dプリントブーム!

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来年はFAB年になりそうですね。

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Dm9 Recordsさんのブースで欲しかったDJシールド2をゲット。

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BRAVE ROBOTICSさんが来てた!つい先日バズったRC変形ロボを作った人ですね。

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変形すると観客から『おおおおお』という声が。

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えっ、198万円って!ひえー。

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こちらがバズったビデオです。

別のブースでは1000円Arduinoという文字が。

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Arduino互換ボードですね。小さくてカワイイ!しかも安い。

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それよりも気になったのがこのクアッドコプター。えっ、3500円!?!?ほんとに飛ぶの?

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ニキシー管によるスペクトラムアナライザ。これは前に見た。

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こちらが新作、ニキシー管によるカウントダウンクロック。展示スタイルがスタイリッシュ。

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毎度おなじみのテスラコイルですが、

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えっ、制御回路のキットがあるの!これは将来の購入リストに入れておこう。

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プリント基板製作のP板.comさんによるプリント基板ハガキ。実際に部品をハンダ付けすると回路が完成します。

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7Fでも開催中。

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こちらも熱気!熱気!熱気!見る方にも体力が要求されます。

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ギターの中央部にiPhone、ネック部分にマネキンの足を設置し、かき鳴らして出てくる音は女性のホットな声。夜のMakeだそうです。

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[NKH]ニコ生企画放送局さんのブースにて。

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デカイカメラだそうです。

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TELESCOPEライブ中。

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3Fでも開催。ぜんぶ見るのはムリでした。

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終了時刻直前までこの熱気。5時に終了のアナウンスがあり、拍手が起きました。

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JUMP JET、買っちゃいました。

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開けてみました。

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出してみました。説明書は英語のみ。だけど難しくないから大丈夫。しかし飛ばす方はかなり難しい…ただいま特訓中です。

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さてまとめ。年々拡大するこのイベントは、これまであまりメジャーではなかった『モノを作る喜び』を世の中に知らせる良いきっかけになっていると思います。2回目からずっと訪問していますが、全体の熱気は上がっていく一方。これまでに存在していなかったモノを自作して楽しむというムーブメントが日本中に広がるのは時間の問題ですね。僕もチームを組んで、次回は出展しようと考えてますよ!



▼この本、僕はKindle版で読んでます。面白い!
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投稿者 galliano : 05:19 PM

September 22, 2012

オンド・マルトノMIDIコントローラ映像、インターナショナルに拡大中!

アメリカ版Wiredさんに僕のオンド・マルトノMIDIコントローラ映像をツイートいただきました。フォロワー162万人て!
Wired's official Twitter account tweeted about my ondes martenot MIDI controller. The numbers of their followers are 1,622,233!!! Thanks @wired!

その他にも、Synthtopiaさんのブログにも掲載いただきました。
Synthtopia wrote about my controller on their blog also. Thanks a lot!

コメントもいろいろ頂いてます。So many comments!

Synthtopia

こちらが本家映像です。1500view超えました。
Here is the original video on Youtube. Thanks to 1500 Viwers!

北米からのアクセスが多いですね。Most access are came from U.S.

Worldaccess
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投稿者 galliano : 08:55 AM

September 10, 2012

TVC137 Little Caesars / Brand / Do Not Call

ブログ用にネタを探してる途中でヘンなキャンペーンを発見しました。まずはこのCM(17秒)をご覧ください。解説はその後で。

…ご覧いただいた上のCM、企画なんて有って無きが如し。メッセージも超タイクツ。Little Caesars(リトルシーザーズ)というのはアメリカのピザ店舗チェーンなんですが、こんな事言ってます。『リトルシーザーズは店頭で、毎日何百種類もの中から好きなピザをお持ち帰りできます。だから【1-800-TRY-LITTLE-C】には電話せずに、好きなピザを持って帰ってね!』店員さんも笑顔。お客さん親子も笑顔。みんな幸せ…ああホントどうでもいいCM。

しかし、CMの後半に突然雰囲気が変わり、ナレーターはこう言います。

『繰り返す。【1-800-TRY-LITTLE-C】には電話すんじゃねえよ。残念なことが起きるぜ。』

うぉっ、突然CMの人格が変わりました。幸せで素敵な『ザ・広告』の世界から、突然の警告へ。これは心がザワザワします。電話しないワケにはいきません。その後に一体何が起きるのか。それは下のビデオをご覧ください(3分)。 

Little Caesars Seriously Does Not Want You to Call Or visit their site. Don't do either. Or else.

ガリ訳:

リトルシーザーズ統合キャンペーンはラジオスポットからスタートしました。

『最近のリトルシーザーズは【1-800-TRY-LITTLE-C】という番号で沢山の注文電話を受けてきましたが、私達は『その番号に電話するな』と教育するキャンペーンを始めました。だってリトルシーザーズは毎日いつでも店頭で180種類の中から好きなピザを選べるんです。大型のペパロニピザだって、たったの税込5ドルです。好きな時に来店いただいて、注文するだけなんです。だから電話する必要なんて無いんです。それなのに【1-800-TRY-LITTLE-C】に電話するって人には、真面目に警告しなくてはなりません〜【1-800-TRY-LITTLE-C】に電話すると、あなたは後悔することになります。その方がちょっとだけでも早くリトルシーザーズピザを早く受け取れるとしても、本当にひどく最悪なことが起きるんです。信じてください。絶対に【1-800-TRY-LITTLE-C】に電話してはいけません。残念すぎる事が起きます〜』

もちろん皆電話しました。その結果どうなったかと言うと…。

『どうして電話したんだ。ピザが欲しいのなら、ここに電話してはいけない。電話なんかしなくても、リトルシーザーズは今もあなたの為に暖かいピザを用意してるんだ。…しかし私はあなたに、やりなおす最後のチャンスを授けよう。誰が何と言おうと、www.forbiddenpizzawebsite.com(禁断のピザ・ウェブサイト)に行ってはいけません。この説明に従えば、平和なひとときが訪れるでしょう。しかし、どうしてもwww.forbiddenpizzawebsite.comに行くというのであれば、あなたは完全に後悔することになるでしょう…』

後はビデオをご覧いただければ判りますね。もう一発、インテグレーテッドらしい仕掛けが待ってます。是非禁断のサイトにも行ってみてください。

この企画、カンヌを取るとはあまり思えませんが、インテグレーテッドおバカキャンペーンで時間を浪費する感じが、すごく好きです。CM単体のアイデアは、『大問題化する』と『裏切る』の2つとします。

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投稿者 galliano : 01:41 PM

September 02, 2012

DIY オンド・マルトノMIDIコントローラの制作(3)DIY Ondes Martenot MIDI controller project (3)

今年の5月から7月にかけて、幻のフランス製電子楽器『オンド・マルトノ』の発想をベースに『オンド・マルトノMIDIコントローラ』を制作した。その過程について3回に分けて記録する。最終回は組み立て後の仕上げ・プログラミング作業と今後の展開について。Arduinoスケッチも公開します。


完成したオンド・マルトノMIDIコントローラの試奏ビデオ

 

最近出たMiniNovaが気になってます。

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2の続き)

やっとテストベッドがカタチになったのだが、音を出す前にすべき事はまだまだある。

まずは音程をコントロールするために、リング位置に応じたピッチベンド数値を出力する計算式が必要だ。最初にArduinoがリング位置をどのように認識しているかを確かめてみる。準備としてArduinoアプリの『ファイル/スケッチの例/01.Basics/』にある『AnalogReadSerialスケッチ』を使用し、Arduinoと精密ポテンショメータを接続、読み込んだ数値をシリアルモニタ上に表示させておく。次に真鍮製の小さな釘を半音部分に打ち込んだ『音程ボード』をテストベッド上に仮固定し、リングに人差し指を入れ、一番低い『ド』の位置まで指先を左にスライドさせる。シリアルモニタ上に表示された数値は『335(精密ポテンショメータの位置によって異なる)』。次に指先を3オクターブ分右にスライドし、一番高い『ド』の位置まで移動させる。このときの数値は『804』。この結果、3オクターブの数値の差は『469』となった。この数字を用いて計算式を作成する。(注:Arduinoは電源の状態によってアナログ読み込み数値に差が生じる。上記の値はUSB給電の場合であり、電源の電圧などにより数値が変わってくるので注意。またMIDIのピッチベンドは本来『16383』というかなり細かい解像度でコントロールできるのだが、Arduinoから得られる精密ポテンショメータの分解能は1024しかない。ただし469を3オクターブ分の音数36で割ると半音あたりの解像度は『約13』となり、聴覚上段差を感じる事はほぼ無いと予測される。本当はあと数倍の解像度が欲しいところなのだが。)

音程ボードとリングのディテール。鍵盤は原寸大のカラーコピー。
IMG 4096

ここまでの文章でお気づきの方もいるだろうが、このオンド・マルトノMIDIコントローラ、要は大きなピッチベンドホイールである。ノートのオンオフMIDI情報はシンセサイザーの『特定の高さのキー』をオンオフするだけで、音程は全てピッチベンドの数値で決まってくる。たとえばリングに通した指先が『特定の高さのキー』の位置にある時は、ピッチベンド数値はゼロである。その位置から指先を右に動かすと数値がプラス方向に拡大し、音程が上がっていく。左に動かせば数値が徐々にマイナスとなり、音程が下がる。この変化は一定で直線的なので、計算式は単純だ。今回のテストベッドでは3オクターブ幅のうち『左端から2つめのド』を『特定の高さのキー』と設定し、ピッチベンド数値がゼロになる位置として計算式を作成した。

x=(y-z)/0.03815
x=求めるべきピッチベンド量
y=精密ポテンショメータの現在の数値
z=『左端から2つ目のド』位置の精密ポテンショメータの数値
0.03815≒(469/3*4)/16383 精密ポテンショメータ数値とピッチベンド数値の比例定数

数式のための計算メモ
計算式

ところで上の式を用いて4オクターブをコントロールするためには、使用するソフトシンセのピッチベンド幅が±24であることが必要である。この幅を備えているソフトシンセの中から、私はKORG Legacy CollectionのMono/Polyを選択した。高校時代にMono/Polyの実機を所有していた事が選択の理由だが、ピッチベンド幅を±24に設定できるシンセサイザーであれば何でも構わない。

KORG Mono/Poly
スクリーンショット 2012 09 02 10 34 04

音程コントロールのための計算式は完成した。次は音量コントロール部分の作業を進めよう。組み上げたテストベッドには暫定的にスライドボリュームを取り付けていたが、迅速な音量コントロールが出来ない事がエア演奏により判明したため、オリジナルオンド・マルトノのトゥッシュ部分の様に指の圧力でコントロールする仕様に変更した。マイクロスイッチに前述小型圧力センサを接着し、マイクロスイッチでノートのオンオフを、指先にかける圧力の大小で音量をコントロールする事にした。こちらも先ほど使用した『AnalogReadSerialスケッチ』を使って圧力センサからの数値を読み込み、簡単な数式を作成した。

トウッシュ部分アップ
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ここまでの計算式などを元にして初期のスケッチが完成、YAMAHA USB-MIDIインターフェース UX-16を通じてソフトシンセに接続し動作をテストしてみた。すると…音が…鳴った! 音程ボードに合わせて気持ちよく演奏ができる!しかもレーザーテルミンの時のような音程の誤差が無い!(1参照)ビブラートもリアルタイムでばっちり!念願の、楽器として演奏できるレベルである。単に計算した通りに動いただけなのだが、私はすっかり感動してしまった。この『実働した』という瞬間が電子工作の一番の醍醐味である。

しかしMake:の世界は甘くなく、すぐに新たな問題が出現した。しばらく演奏しているとチューニングがズレてくるのだ。原因はタコ糸の『滑り』である。演奏中にリングを左右に素早く動かすとタコ糸とプーリー位置にズレが生じ、その蓄積によって段々とチューニングがズレてくるのだ。これではとてもじゃないが楽器とは呼べない。さっきの喜びはどこへやら。そこでさらなる試行錯誤を繰り返し、プーリーにヤスリでギザギザの滑り止め加工を施す事と、任意のリング位置を瞬時にピッチベンド量ゼロ位置に設定できるチューニングボタン(下の完成画像参照)を追加することで問題を解決した。演奏の合間にチューニングするというのはなかなかアナログな行為であり、楽器っぽくて気に入っている。

プーリーの滑り止め加工
IMG 4097


ここで仮組みしていた部品などを固定し、オンド・マルトノMIDIコントローラの基本的な部分が完成した。

完成画像(クリックで拡大)
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いったん完成の後も、様々なモディファイを行なっている。まずはオリジナルオンド・マルトノにもあるような、演奏中に音の表情を変えるためのカットオフスライダを装備した。これがなかなか具合が良い(上写真及び演奏ビデオ参照)。また、ピッチベンド幅調整用ボリュームも追加し、ソフトシンセの音色作成の際に利用している。音色については前述したMono/Polyでオンド・マルトノに近い音を数種類作成した。しかしこれはMIDIコントローラなのでオリジナルの音色にこだわる必要はなく、楽曲に合わせて幅を広げて行きたいと思っている。将来的な予定としては、4オクターブ以上の演奏に対応できるようオクターブUP/DOWNボタンを追加する予定である。その他にも音色変更用のボタンを追加したいと考えており、丸裸のデザインもなんとかしたい。コントローラの進化は当分続きそうだ。

制作に要した期間は約2ヶ月、金額は約15000円。内訳は、Arduino2760円、プーリーが4つで3360円、精密ポテンショメータが約1500円、圧力センサが800円程度、あとは各種スイッチ、抵抗類、ブレッドボード、配線、板、ネジなどである。

初期配線図(最終のものではありません・クリックで拡大)
配線図

さてお待ちかねの演奏である(といっても冒頭と同じ映像なのだが)。最初はテルミン定番の『白鳥(サン・サーンス)』からということで、GarageBandでカラオケを作成し、演奏してみた。かなり良いところまできていると思うのだが、いかがだろうか。この先、トリ音さんが演奏していた『亜麻色の髪の乙女』や『月の光(ドビュッシー)』など、レパートリーを広げたいと思っている。呼ばれれば演奏もします(笑)。

演奏してみました(アンコール)

3回連載『オンド・マルトノMIDIコントローラの制作』は以上である。実物を見たこともないオンド・マルトノを、「出来るような気がする」という思いだけでなんとか制作することができたのは、やはりArduinoの存在が大きい。ハードウェア(工作)とソフトウェア(プログラミング)を組み合わせて問題を解決するプロセスはパズルで遊んでいる感覚に近く、とても楽しいものだ。ビバ、フィジカルコンピューティング!

このエントリをきっかけに、一人でも多くの人がArduinoを触るようになれば望外の幸せである。

 

スケッチ

////////////////////////////////////////////////////////////
// Ondes Martenot MIDI controller for Arduino UNO 9V v0.0
// Mitsushi "Galliano" Abe 2012.9.1
// http://gam.boo.jp/blog/archives/2012/07/midi.html
////////////////////////////////////////////////////////////
// Connect the pressure sensor (volume) to A0, the micro switch (note on) to D7
// Connect the center pin of 10-turn potentiometer (pitchbend) to A1
// Connect the push switch (tuning adjust) to D8
// Connect the center pin of slide potentiometer (cut off, not must) to A3
// Connect the center pin of potentiometer (to control pitchbend range, not must) to A2
// Connect Mac>>USB-MIDI(IN)>>Arduino
// The software synthesizer must have +- 24 pitch bend range for 4 octave control
////////////////////////////////////////////////////////////

#include <MIDI.h>

#define SWITCH 7 // connect the micro switch to D7
#define PITCHADJUST 8 // connect the push switch to D8
int PITCHADJUST_RANGE = 0;
int PITCH_RANGE = 24;

#define PITCHINPUT 1 // connect the center pin of 10-turn potentiometer to A1

int sensorPin = 0; // connect the pressure sensor to A0
int sensorValue;
int midiValue = 0; // volume Value
int old_midiValue;
int cc = 7; // main volume for MIDI control change

int bendPin = 2; // connect the potentiometer to A2
int bendValue;
int midibendValue = 0; // bend Value
int old_midibendValue;
int br = 58; // MIDI bendrange change (depends on user's difinition)

int cutoffPin = 3; // connect the slide pot to A3
int cutoffValue;
int midicutoffValue = 0; // cutoff Value
int old_midicutoffValue;
int cu = 74; // MIDI cutoff change

int midiCh = 1;
int notecounter = 0; // Counter used to avoid refrainig note on
int val1 = 0;
int val2 = 0;
int data3 = 0;

int MIDI_ROOT_NOTE = 60;
byte lowerBits; // Pitchbend value LSB
byte upperBits; // Pitchbend value MSB
int iCounter = 0; // Counter used to reduce the sample rate
byte noteOnToggle = HIGH; // Used to hold the state of the beam

float MIDIPITCHSCALE = 0.03785;

void SendMIDI(char cmd, char data1, char data2)
{
Serial.write(byte(cmd));
Serial.write(byte(data1));
Serial.write(byte(data2));
}

void control(){


val1 = digitalRead(SWITCH);

if(val1 == HIGH)
{
notecounter = notecounter + 1;
if(notecounter == 1)
{
SendMIDI(0x90, MIDI_ROOT_NOTE, 127); // Send the root note
}
}
else
{
// NOTE OFF
SendMIDI(0x80, MIDI_ROOT_NOTE, 127); // Silence the note
notecounter = 0; // Reset the counter
}
}

void volume(){

sensorValue = analogRead(sensorPin);
midiValue = sensorValue / 7.6;
if(midiValue>127){midiValue=127;}

if(midiValue != old_midiValue)
{
SendMIDI(0xB0, cc, midiValue);
}

old_midiValue = midiValue;

}

void bendrange(){
// connect the potentiometer to A2
// this pot controls pitchbend range
// this is not mandatory
bendValue = analogRead(bendPin);
midibendValue = bendValue / 8;
if(midibendValue>127){midibendValue=127;}

if(midibendValue != old_midibendValue)
{
SendMIDI(0xB0, br, midibendValue);
}

old_midibendValue = midibendValue;

}

void cutoff(){

cutoffValue = analogRead(cutoffPin);
midicutoffValue = cutoffValue / 8;
if(midicutoffValue>127){midicutoffValue=127;}

if(midicutoffValue != old_midicutoffValue)
{
SendMIDI(0xB0, cu, midicutoffValue);
}

old_midicutoffValue = midicutoffValue;

}

void ProcessAnalogValue(byte i)
{
// get a value for the GP sensor on pin i
float _x = Z(i);

val2 = digitalRead(PITCHADJUST);

if(val2 == HIGH)
{
data3 = analogRead(1);
PITCHADJUST_RANGE = 608-data3; // 608 is the middlepoint of pitchbend plus 1
}


// 0 - 16383 is the full 14 bit pitchbend range
int _converted = (int)((_x-297+PITCHADJUST_RANGE)/ MIDIPITCHSCALE);

if (_converted > 16383)
{_converted = 16383;}

if (_converted < 0)
{_converted = 0;}

// Convert this 14 bit range value to LSB and MSB bytes
lowerBits = (byte)(_converted & 0x7F);
_converted >>= 7;
upperBits = (byte)(_converted & 0x7F);

// Now output the message
SendMIDI(0xe0, lowerBits, upperBits);

}

float Z(byte pin)
{
int tmp;
int data1 = 0;
int data2 = 0;
int summary = 0; // summary of input data
int h;

// get average data from analogpin0
for(h=0;h<10;h++){
data1 = analogRead(pin);
summary = summary + (data1);
}
tmp = summary/10;
return (float)tmp;
}

void setup(){

MIDI.begin(1);
Serial.begin(31250); // Set MIDI baud rate:

SendMIDI(0xB0, 0x65, 0);
SendMIDI(0xB0, 0x64, 0);
SendMIDI(0xB0, 0x06, PITCH_RANGE); // Set pitchbend range

pinMode(SWITCH, INPUT);
pinMode(PITCHADJUST, INPUT);

}

void loop(){

volume();
bendrange();
cutoff();
control();
ProcessAnalogValue(PITCHINPUT);
delay(1);

}

 

Arduinoを始めるにはこの本から。

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投稿者 galliano : 08:12 PM

August 05, 2012

DIY オンド・マルトノMIDIコントローラの制作(2)DIY Ondes Martenot MIDI controller project (2)

今年の5月から7月にかけて、幻のフランス製電子楽器『オンド・マルトノ(Ondes Martenot)』の発想をベースに『オンド・マルトノMIDIコントローラ(Ondes Martenot MIDI controller)』を制作した。その過程について3回に分けて記録する。第2回は全体のデザインと組み立てについて。

IMG_4215.jpg  


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1からの続き)
なんとかなりそうだという予感を感じた時には、頭の中に以下のような全体の構成が浮かんでいた。

その1:滑車4つに、指を通すリングを結んだ糸をピンと張る。滑車の1つには回転量を測るセンサが付いており、これが音程を制御する。

その2:音量を制御する部分は、スライド式ボリュームで試してみる。

その3:それぞれのセンサの値はArduinoによってMIDI信号に変換され、ソフトウェアシンセサイザの『ピッチベンド(PitchBend)』と『ボリューム(Volume)』をコントロールする。


この3点が完成すれば、とりあえず音は鳴る。よし、まずは材料集めだ。

最初に向かうのは当然秋葉原。ここで調達すべき最重要部品は、上記その1に使用する回転数センサである。前述のDanaによるコントローラにはThe 10-turn, 100K potという聞いたことも見たこともない部品が使われていた。そもそもpotって何だ?と調べてみるとPotentiometerの略で、単なる可変抵抗(ボリューム)の事であった。しかし10-turnとは10回転を意味するのだが、そんなに回転する可変抵抗なんて聞いたことがない。それはギヤで減速しているのか??精度は?とりあえずググッて見ると、海外メーカーのサイトは見つかったが秋月電子などのパーツ屋さんでは検索しても出てこない(注1)。果たしてこのセンサは日本で売られているのか?もし無かったら通販で輸入か?などの疑問と不安を抱えつつ、秋葉原電気街の秋葉原ラジオセンターに行ってみた。そして可変抵抗を多く扱っているお店のおばさんに恐る恐る聞いてみると、「あるよ、そこに」と指差すではないか。おお!これが10回転式可変抵抗か!!!問題はあっさり解決した!もしかすると私は感動してちょっと涙ぐんでいたかもしれない。目をうるうるさせながら抵抗軸をぐりぐりと回す私の姿をおばさんはどう見たのだろうか。それはさておき値段は1500円弱と高価である。しかし一番重要なパーツなので迷うことなく購入した。抵抗値は10kΩ(キロオーム)、10回転で止まるようになっているが、構造は不明だ。さらには、なぜかメキシコ製。精度は大丈夫か。

(注1:後に秋月電子でもヘリカルポテンショメータという名前で販売されているのを発見し、これも購入した。他店でも発見したが、なんとこのパーツ、ヘリポットや精密ポテンショメータなど決まった名前が無い。検索しても出てこないはずだ。以下精密ポテンショメータと呼ぶ。ちなみに今回は回りが軽いメキシコ物を使用した。)

これがメキシコ製精密ポテンショメータ。10回転10kΩ。
IMG_3987.jpg

次は滑車(以下プーリー)である。これは以前ロボットの部品を扱っていた千石電商の秋葉原3号館で見た記憶がある。訪問してみるとまだ豊富な品揃えが残っていた。外形40ミリのアルミ削り出しプーリーを計4つ購入。内訳はシャフト内径が3ミリのものが3つ、6ミリのものが1つである。1つだけサイズが違う理由は、それを精密ポテンショメータと直結させたいからだ。ポテンショメータ軸の外径は6ミリなのでピッタリ一致する。これはラッキー! ついでに糸の張りを保つスプリングも購入。

アルミ削り出し滑車。1つ840円。精度も値段も高い。
l010073.jpg

次に同じ千石通商本館2階でArduinoを購入。ここはArduino関連商品の品揃えが多く、とても便利である。ついでに「もしかしたら使うかも」と思って小型圧力センサも購入。これが後々正解となるのだが、詳しくは後述。 その他小型ブレッドボードやスライド式ボリュームは秋月電子で購入。以上で電子関連の買い物は終了なので、工作物関連の部品を買いに東急ハンズ渋谷店に向かう。

Arduinoは、今年新しくデビューしたUNOを使用。
紙箱に入ったりシールがついたりと、全体がシャレ乙になった、

arduino-uno4.jpg

東急ハンズに行く前に、ある程度は全体サイズの目処をたてておかなくてはならない。そこで部品を揃えつつ、設計も同時進行。イラストレーター上で各種部品をあれやこれやと配置してみる。音楽用キーボードのスタンダードサイズ幅も調査し(1オクターブ7鍵が165ミリ、3オクターブ=165*3+23=518ミリ)、原寸で図面上に置いてみると3オクターブを演奏できるサイズが使いやすそうだ。左側は操作部分を進化させたいためスペースに余裕を持たせたい。また土台については、今回は動作確認用テストベッドなのでデザインは気にせずとりあえず平たい板があれば良い。そしてハンズで選んだのが150*910サイズの板である。これぐらいの大きさなら左側に少し余裕もありそうだ。それと忘れちゃいけないのが、音程を右手の指先で感じる部分〜指センサ部とでも呼べば良いのか〜の部品。土台の板に直接加工すると失敗できないので、この指センサ部用に細く薄い板(30*600)を購入した。その他各種ネジ類や釘、スペーサー、底面用ブッシュゴム、精密ポテンショメータ固定用の0.5mmアルミ板、指を通すためのリング用としてキーホルダーリングを購入。リングに結ぶ糸はとりあえずタコ糸でテストしてみることにした。

板の購入前に書いた第一次設計図。若干実物とサイズが違う。【クリックで拡大】
testbed.jpg

あとは作るのみである。実際の板サイズに合わせた図面データを原寸でプリントアウトし、正しい場所に穴を開け、部品を取り付けて行く。その中でも試行錯誤があり、MIDIコネクタの位置などは図面と違う場所に設置した。これで一旦テストベッドは完成したが、なんだこれは? とても楽器には見えない不思議なシロモノである。これでトリ音さん竹内正実さんの素晴らしいテルミン演奏に近づけるのか? いろいろ不安はあるのだが、とにかく今は指先をキーホルダーリングに突っ込んで左右にスライドさせつつ、きっと流れ出るであろう素敵な調べを脳内イメージするしかないのである。

各部品をネジ止めしてテストベッドが完成。配線はまだ無い。
IMG_4215.jpg  

(3に続く:近日公開)


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投稿者 galliano : 03:24 AM

July 28, 2012

DIY オンド・マルトノMIDIコントローラの制作(1)DIY Ondes Martenot MIDI controller project (1)

20120706title.jpg

今年の5月から7月にかけて、幻のフランス製電子楽器『オンド・マルトノ(Ondes Martenot)』の発想をベースに『オンド・マルトノMIDIコントローラ(Ondes Martenot MIDI controller)』を制作した。その過程について3回に分けて記録したい。第1回は制作までの道のりである。

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オンド・マルトノの話に入る前に、まずは3年前に自作したレーザーテルミンと、その少々残念だったポイントについて触れなくてはならない。それは雑誌『Make:日本版第6号』の記事を元に製作したもので、横長のボディに沿って走るレーザー光を手で遮ることで発音のオンオフを制御し、赤外線距離センサから手のひらまでの距離を測ることで音程を制御する構造だった。この自作レーザーテルミンを使用してArturia社製ソフトウェアシンセサイザ『Analog Factory』を演奏した映像がYoutubeにアップされているのでご覧いただきたい。

galliano自作レーザーテルミンによる演奏『私のお父さん』(2009)


光センサと距離センサから得られた数値をMIDIデータに変換するのは、おなじみArduino(アルドゥイーノ)の仕事。ただし全ての回路とArduino用のスケッチ(プログラム)は、雑誌に掲載されていた記事を忠実になぞっただけで、工作の中身は『雑誌記事の検算』の域を出ておらず、自分のオリジナリティはほぼゼロである。ここが残念なところの一つ。

加えて、完成したレーザーテルミンの演奏はなかなか難しいもので、距離センサの微妙な誤差から高音域の音程がブレがちであった。音量についてもノートオンとオフの二種類しかなく、本家テルミンのようにデリケートな音量調整は行えない。すなわち、演奏するための楽器としては不完全なものだったのだ。

私が幻の電子楽器『オンド・マルトノ(Ondes Martenot)』に出会ったのは、この不満を如何に解消するかを考えている最中の事だった。

「演奏をしっかり楽しみたいなら、本家テルミンを買えばいいじゃないか」という意見もあるだろう。実際、簡易的なテルミンであるテルミンminiを付録とした大人の科学マガジン Vol.17は3冊も購入してしまい、ひとつは家に置き、一つは会社に常備。最後の一つは電話機スタイルに改造するほど気に入っていた。

電話機スタイル版学研テルミンmini(2011)
IMG_2712.JPG

また本格的なテルミンの中でも、外部音源コントロール出力を備えた最新式テルミン「モーグ:イーサウェーヴ・テルミンプラス(Moog Etherwave Theremin Plus)」はなかなか魅力的な商品である。実はコレ、すごく欲しい。しかしテーザーテルミンを自作し、その結果に悩んでいる以上、吊るしの完成品を買って解決というのはどうにも面白くない。あくまでも自作することで課題を乗り越えたいのだ。このあたりの気持ちは、Make:読者であれば判っていただけると思う。

モーグ:イーサウェーヴ・テルミンプラス

日本製のテルミンとしては、e-windsがよく知られているが、どのテルミンにしても上手い人が演奏すると素晴らしい表情が生まれる。たとえば下のリンク先から鑑賞できるトリ音さんの演奏を聞いていただきたい。この表現レベルに自作の楽器で近付きたいと、ずっと考えていた。

「亜麻色の髪の乙女」(ドビュッシー)e-winds演奏byトリ音さん

そんな中、ふとした拍子にYoutubeで発見したのが『オンド・マルトノ(Ondes Martenot)』である。テルミンと同じ頃にフランスで発明された電子楽器『オンド・マルトノ』についてはwikipediaに詳しい説明があるが、テルミンよりも知名度が低く台数も限られている事から、『幻の電子楽器』とも呼ばれている。しかも現在オリジナルモデルは生産されておらず、中古でも大変な高価格で取引されているとか。さらにはこのオンド・マルトノ、鍵盤部分と3つの大きなスピーカーのセットで成立しており、総重量は100キロを超えると聞く。これは気軽に所有するというわけにはいかない。

とはいえ、出てくる音を聞いてみると、無段階の音程変化がテルミンに非常によく似ており、なかなか心地よい。大いに惹かれるものがある。ぜひ下の画像でその魅力を感じていただきたい。

オンド・マルトノのデモ映像


さてこのオンド・マルトノ、テルミンと違う点がいくつか存在する。まず視覚的に大きく違うのは鍵盤部分を持つ事だが、私が注目したのはここではなく、音程の無段階コントロール部分である。テルミンに見られるアンテナ制御とは違い、リボン(ワイヤー)に取り付けられた指輪状のリングを左右にスライドすることで音程を制御する。またリングの下に凹凸のある音程ガイドがあり、指先の感覚だけで正確な音程を簡単に出す事ができる。音量は『トゥッシュ』と呼ばれる鍵盤型プッシュボタンを左手で操作し、指の圧力や勢いで表情が付けられる。さらにはボタンやレバーの操作で音色を変える事も可能だ。

これらテルミンとの差異は、どれも自作に向いている印象を受けた。そしてもうひとつ、私の制作モチベーションを上げた大事な事がある。それはオンド・マルトノ風に作られたMIDIコントローラがまだ世の中に存在していないという事なのだ!実にMake:心が刺激される素材ではないか。(存在してたらすみません)

ちなみにMIDI制御機能を持たないオンド・マルトノ風の楽器はいくつか存在している。まず実際に販売されている製品として、モジュラーシンセサイザメーカーである『Analogue Systems』社製の『French Connection』が挙げられる。これはアナログシンセサイザー用にCV電圧とGATE信号を出力する機能を持っており、本家オンド・マルトノと同様に鍵盤出力も装備されている。ただしこれは単なるコントローラでしかなく、モジュラー式のアナログシンセに接続しなくては音が出ない。そして値段は、なんと29万円を超える。RADIOHEADがツアーでも使用したそうだが、実に高価であり、素人が手を出せるものではない。

『French Connection(29万円以上)』のデモ映像


その他にもWeb上を見ると、多数の自作オンド・マルトノが発表されている。よく知られているのは『Dana Countryman』氏による『Martenot Controller』であろう。これも『French Connection』同様アナログシンセ用コントローラであり、下の映像内で音を発しているのは後ろにそびえる重厚なモジュラーシンセサイザである。しかしコントローラの構造は非常に単純で、作者による丁寧な解説ビデオがあり、中身の詳細や使用している部品も判別しやすい。作者のサイトにも詳細な制作解説ページがある。そして、Danaは「1万円以下で作ったよ」と言っている! というわけで、私が今回自作したオンド・マルトノは彼のオンド・マルトノの構造を参考にしており、ここで感謝の意を表しておきたい。Thanks a lot, Dana!! ちなみに鍵盤部に設置してあるDX-7は演奏用ではなく単なる音階のリファレンス用である。

『Martenot Controller』の内部構造説明+デモ演奏『Ave Maria』


この他にも、音源を内臓したタイプなど様々なオンド・マルトノがある。ただしどれもMIDIコントローラ機能は備えていないようだ。

その他自作オンド・マルトノ映像


さらにはiPadアプリ版オンド・マルトノも存在している。名前は『Petites Ondes(プチ・オンド)』。なんと日本製の有料アプリで、価格は250円。完成度はすこぶる高く、オンド・マルトノの雰囲気を知るのにはお勧めである。ただし正確に音程を出すのはなかなか難しく、iPad幅の制限からスムーズにコントロールできる音域も狭い。遊び用としては面白いが、演奏用楽器としてはちょっと物足りない。

Petites Ondesのデモ映像




ちなみにこのアプリの開発元は、東京・浅草でリアルなオンド・マルトノレプリカを制作している『浅草電子楽器製作所』である。ASCII.jpによる楽しい会社紹介の記事はこちら。

伝説の電子楽器をツマミに酒を飲む~浅草エレキスポット巡礼

最後に『リボン・コントローラ』にも触れておかねばなるまい。テルミンやオンド・マルトノに似た無段音階コントローラであるリボン・コントローラは、単体で音が出るもの、MIDI出力を備えたものなど様々なタイプが商品化されている。シンプルではあるがなかなか魅力的な製品であり、テルミン系と比べても比較的安価で販売されている。明和電機による「オタマトーン」もこのジャンルの製品である。ただし既に多数の自作例があることから、リボン・コントローラを自作することは充分可能だが、かなり『出遅れ感』を感じるのが正直なところである。広告同様、何を作るにしても『最初感』はすごく大事なのだ。

自作リボン・コントローラ例。演奏上手過ぎ。


これまで見てきたように、世の中には様々な類似コントローラが存在している。その中でも、演奏しやすそうに見えて表情も豊か、加えてMIDIコントローラ版がまだ発表されていないという理由により、自作オンド・マルトノMIDIコントローラの制作を決意した。

しかし作ってみなければ判らない事だらけで、完成する目処など全く無かった。あったのは、なんとかなりそうだという匂いと、自分には出来るという気持ちだけだった。

)に続く。



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投稿者 galliano : 10:51 AM

November 23, 2010

ロンドンのデジタルサイネージレストラン



オーダーヘッドプロジェクションシステムを駆使したレストランがロンドンにオープンしたそうです。各テーブルが独立したデジタルサイネージなっていて、無線でネットワークが組まれているらしい。こりゃ行ってみたいね!レストランのサイトはこちら、インタラクティブな注文システム「E-table」を開発したのはこちら

inamo restaurant

Opening Times:
Mon-Thu 12am - 3pm
5pm - 11.30pm
Fri-Sat 12pm - 12am
Sun 12pm - 10.30pm

134-136 Wardour Street,
Soho, London,
W1F 8ZP
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投稿者 galliano : 09:34 AM

February 27, 2010

CASTINGPLAYBOY.COM


アルゼンチン版「PLAYBOY」が実施しているオンラインキャスティングキャンペーンの事例。ぜひビデオをご覧ください。面白すぎて、バカ過ぎて笑っちゃいます。これも博報堂須田さんの言う「使ってもらえる広告 」の好例でしょうね。


シャッターを押すたびに「キレイだよ」「すごくイイ」「最高!」と有名カメラマンのサンプリング音声が鳴り響くモードが付いてるデジカメってのを10年ほど前に考案しましたが、そんな感じかとw。応募サイトのURLをこの先に置いておきます。


どうやらまだキャスティングは続いてるみたい。興味ある人は是非トライをw

http://www.castingplayboy.com/

16.png


使ってもらえる広告 「見てもらえない時代」の効くコミュニケーション (アスキー新書)
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3 使ってもらえる広告、選択肢の中でひとつのカタチだとは思う。
5 第六章を読むべし
5 バイラル・ループ
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投稿者 galliano : 01:21 PM

November 29, 2009

Esquire's Augmented Reality issue



もう皆さんご存知だと思いますが、本国版エスクァイアのAR特集が話題です。というか、半月ほど前に話題でした。 では何故それを今アップするかというと、先日我が国のAR事例を見たからですね。

その広告は日本で始まったばかりのAR広告である事について胸を張り、自信満々で、是非アクセスせよと語っていました。弊社の社員が広告を持っていたので皆で鑑賞しました。そして愕然としました。。。。出てきたビジュアルは企業を礼賛するばかりの内容で、つまらなく、美しくもなく、アイデアもエンタテインメント性もゼロだったんです。

AR広告を見るには、わざわざPCを立ち上げ、サイトに行き、カメラを準備するなど最低でも2〜3分はかかる。どんな広告でも鑑賞するために支払った「時間」分以上の喜びがないと視聴者とのエンゲージメントは成り立たないものですが、AR広告はそのぶん成功のハードルは相当高いと見るべき。しかしこの事例にはおもてなしの心というか、「鑑賞してくれてありがとう」という感謝の心を全く感じませんでした。

人が見たい広告を選ぶ時代になり、視聴者と広告の立ち位置がすっかり変わっている事に全く気付いてないのか、気付かないフリをしているのか。

というわけで、このサイトを見ている皆さんには是非上の映像を見ていただきたい。そして自分がAR事例を作る事になった時には、世界はこれぐらいのクォリティで作っている事を知っておいてもらいたい。というわけで、皆さん既にご承知で失礼かと思いますが、ダメ押しアップです。

という僕もまだこのエスクァイアを入手してないんですけれども(汗)
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投稿者 galliano : 12:07 PM

October 29, 2009

"Hand from Above" from Chris O'Shea

Hand from Above from Chris O'Shea on Vimeo.

アーティストであり、デザイナーでもあるChris O'Sheaの作品。というかインスタレーション。というかメディアアート。adverblogにあったので広告かと思ったんだけどそうじゃなかった。彼のブログpixelsumoでは先日ここでも紹介したThe fun theoryがとりあげられていたりして、なんとなく親近感。

最近こういったインタラクティブ作品にすごく魅力を感じる自分がいます。何か新しくて面白い事やらないと死んでしまう。

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投稿者 galliano : 09:15 AM

October 11, 2009

The Fun Theory / Piano stairs


人の行動をより良い方向に変えるには、その行動を楽しいものにしてしまう事がいちばん簡単だ。

We believe that the easiest way to change people's behaviour for the better is by making it fun to do.

The Fun Theoryより


まさしくその通り。このピアノ階段を設置することで、階段を利用する人が66%増加したらしい。僕が最近習得しつつあるエレクトロニクス技術を使えばこういうことは安価にできそうだ。この週末に考えてみよう。

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投稿者 galliano : 12:31 PM

September 24, 2009

Diesel / Diesel Helmets / Quique The Head

今日もインタラクティブ広告のご紹介。説明の前に、まずは上のビデオを見て欲しいんです。3分33秒ありますが、面白さガリ保証なので安心してご覧ください。

このビデオを見るだけではなんのことやらわかりませんね。ではキャンペーンサイトに行ってみましょう!

キャンペーンサイト

さて、なんの話かわかりましたか?

そう、このキャンペーンは、この話の主人公エンリクにあなたの体を寄付してくださいというもの。ギャラリーを見ると実にバカバカしい無理な写真が並んでますね。しかし、いったい何の広告でしょうか?

サイトの下の方を見るとsupported by DIESELというロゴがあります。どうやらDIESELのキャンペーンのようです。しかし、商品はいったい何なのでしょうか。サイトのもう少し下を見てみましょう。そうすると見えてくるのが…ヘルメットですよ!

え?DIESELがヘルメット? と思いつつリンクをたどってみると、このページにたどり着きました。どうやらDIESELのHELMETのキャンペーンのようです。そう考えてビデオを思い返すと、主人公は最初から最後までヘルメットを装着してましたね。なるほど、3分の間視聴者は全員商品を見ていたというわけです。丈夫さを伝えるカットもしっかり入ってました(笑)。

表現は過激、しかし商品をしっかりと見せ、記憶に残している。しかもこのヘルメット、なかなかデザインも良い。これを作ったのはスペインのshackleton。仕事のクォリティ、高いです。

「これからの広告キャンペーンは、一見広告には見えないものが中心になる。」そんな話がありますが、まさしくこのキャンペーンが当てはまります。

最後に、これはTVCではないのですが表現アイデアを考えてみましょう。「ありえない映像をリアルに作る」世界の中で、顔だけを守るという「意外な?利用方法」を提示し、商品の優位性を「説明」してます。いやー、基本中の基本だ。


▼主人公エンリクが生まれた時のアホアホ新聞記事
quiquethehead.jpg
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投稿者 galliano : 08:47 PM

H&Mで買い物したい

渋谷H&Mが開店しましたね。楽しみにしていたので近日訪問したいと思いますが、この開店に合わせたように、H&Mのサイトが今月リニューアルされました。

H&M Fashion Studioと名付けられたサイトはそのトップ画像から凝った作りになっていて、気に入ったスタイリングの写真はすぐFacebook上でコメントできたり、上のように簡単にブログに載せる事ができます。また自分に似たモデルを探して「着せ替え」をして楽しめるインターフェイスがとっても新鮮です。

でもね、スタイリスト的センスがないと着せ替えの結果はヒドい事に…。

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投稿者 galliano : 02:34 AM

September 22, 2009

HBO Imagine

ピクチャ 2.jpg

2年前にカンヌを始めとする広告賞を総嘗めにしたHBOが、新しいインタラクティブキャンペーン「Imagine」をスタートさせました。「想像する以上のものを。HBO」というタグラインが示すとおり、これまで見たことがない表現アプローチのウェブサイトに仕上っています。

そのコンテンツはというと、これがまさしく迷宮と言える作り。というか、実は僕にもまだ何が何やらわかってない状態なのでうまく説明できません。ウェブサイトでは3Dの空間に多くの映像が漂っており、その中の2つは同じ出来事を4つの方向から見る事ができるようになっています。よく言われるテーマ「物事は様々な角度から見ると違う様相を見せるものだ」をそのまま表現としてるわけです。

このテーマをそのままリニアに表現すると黒沢監督の「羅生門」のような映画に仕上るわけですが、ここでは全ての情報がノンリニアに散らばっており、観客はそれらを集めて自分の頭の中で再編集する必要があります。これはとっても面倒なこと。しかも英語だし。でもなかなか知的なアプローチであり、一見の価値はあります。

HBO Imagine website

さらに、2種類ある4面の動画はNYC、DC、そしてフィラデルフィアで実際に大きな4面スクリーンを作って上映したそうです。あ、違う、今月の17〜19日までNYCで上映され、その後フィラデルフィアで10月1〜3日まで、DCでは10月8〜10日まで上映されるそうです。ウェブ内のアトラクションが現実世界に登場するわけで、こりゃメディアが黙ってませんよね。映画的演劇的アプローチにウェブの技術を加え、イベントとして体感できる「場」まで作るとは、これは用意周到だわ。

代理店はBBDO NY、製作はThe Barbarian Groupが全部仕切ってるようですよ。

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投稿者 galliano : 11:42 PM

Lynx Party Across The Internet

Picture 2.jpg

ローンチしたばっかりのLynx(日本での商品名はAxe)キャンペーンをご紹介。ユーザーが主人公になってインターネット内を旅するという仕組み。途中にミニゲームなどあって楽しめます。これ以上説明するのは野暮というもので、とっとと下のリンクからいってらっしゃい!(情報from29man)

Lynx Party Across The Internet

これはもうアトラクションと言って良いですな。説明記事はこちら

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投稿者 galliano : 10:01 PM